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Jデビュー済みの東京VユースMF渡辺皓太の誓い、「トップに必要とされる選手に」

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[5.29 第40回クラブユース選手権(U-18)関東・決勝T2回戦 東京Vユース1-0浦和ユース ヴェルディG]

 既にJリーグデビューを果たしているMFがピッチ上で存在感を示した。今季はおもにトップチームでトレーニングを積んでいる東京ヴェルディユースのMF渡辺皓太(3年)が約3週間ぶりにユースの公式戦に出場。全国行きのかかった一戦でダブルボランチの一角に入っては、果敢なチャレンジからのボール奪取で相手の攻撃の芽を摘んだほか、確実なボールキープでリズムを作った。

 平日はトップの練習に参加。週末は状況次第で、どちらに帯同するかが決まる。これまではユースの試合前日に藤吉信次監督から「今週はユースで」と呼ばれることが多かったようだが、全国行きのかかった大一番を前に、今週は木曜日にも“ユース参戦”が告げられていたという。

 そして、この日の浦和戦。5月7日のプリンスリーグ・山梨学院戦以来、約3週間ぶりに東京Vユースの一員として、渡辺がピッチへ戻ってきた。

 開始6分にはDF3名を引き連れても、体をぶらすことなく正面突破。チャンスにつながるパスを供給した。縦へ素早い攻撃を続ける浦和に対しては、起点となるパスの出しどころへアタック。果敢なボール奪取で存在感をみせた。

 食らいついてくる相手を前に、冷静にいなしてはボールをさばくと、これは決勝点につながる。後半16分、MF藤本寛也(2年)とのパス交換から一度内側へボールを振り、DFを動かすと鋭い縦パス。受けたMF大久保智明(3年)が決めたミドルが決勝点となり、東京Vユースは勝利。全国行きを決めた。

 ユースの試合から離れていた渡辺にとって、公式戦でのフル出場は久しぶりのこと。役目を果たしたMFは「なかなか90分間やっていなかったので、思ったより疲れました」と苦笑い。「トップではやるので精一杯ですけど、ここでは違いをみせなといけない。そういった意味ではまだ違いを見せられたかはわからない。ミスがあったので、もっと無くしていかないと」と気を引き締めた。

 トップのスタッフからは「お前がユースに行って負けたら……」「お前が行くからには勝つんだろうな?」と冗談交じりの檄も飛ばされていたという。だからこそ、1-0での勝利を手にして「ホッとしました」と笑った。

 藤吉信次監督は「トップチームでも出場しているし、頼りになる存在」と背番号10を称えると「きょうの試合で皓太がいたのは大きかった。ボールを奪われない安心感や危ないところを潰すのはさすが。あれはトップでもやって欲しい」とエールを送る。今後はトップで出場時間を伸ばすことにも期待はかかる。

 とはいえ、J2の直近5試合では出番がない状況。今年3月終わりに2種登録され、4月29日のJ2第10節・群馬戦(2-2)で初のベンチ入り。5月3日の山形戦(0-1)で後半26分からの途中出場でデビューした。しかし、その後は5試合連続でメンバー入りから遠ざかっている。

 だからこそ、悔しさを明かした渡辺は「トップに必要にされる選手になりたい。トップに出られないからユースへ来るのではなく、ユースに出られないくらいに、ずっとトップへいたい」と力を込めた。東京Vユースの背番号10という誇りを胸に、同級生たちの先陣を切り、Jリーグでひと暴れするつもりだ。

(取材・文 片岡涼)

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