beacon

[MOM1785]三重FW稲畑颯斗(3年)_延長突入も「自分の時間が来た!」レフティーストライカーが優勝決定弾!

このエントリーをはてなブックマークに追加

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.30 総体三重県予選決勝 四日市中央工高 2-3(延長)三重高 三重交通Gスポーツの杜 鈴鹿]

 投入されたのはアディショナルタイム突入後の後半37分。三重高の10番、FW稲畑颯斗(3年)は「もうちょっと早く出ると思っていた」というが、2-1とリードしている中で短い出場時間でもチームの勝利のために戦うつもりでいたという。あと、1、2プレー乗り切れば優勝が決まるはずだった。だが、三重は後半ラストプレーで四日市中央工高に同点ゴールを許してしまう。優勝目前の状況から試合は延長戦へ突入。重苦しい空気が漂っていたかと思えば、主将のFW紀藤隆翔は「楽しんで」と仲間たちに声をかけ、稲畑も「『自分の時間が来た』、と思いました」と振り返る。選手たちは延長戦を楽しんで戦い、そしてこの日3度目となるゴールで勝負を決めた。

 今大会6ゴールの“レフティーストライカー”が輝きを放ったのは延長前半10分だった。三重は相手CKから高速カウンター。右サイドを駆け上がったFW川北敦史からのパスを受けた稲畑はボールを受けると中央方向へボールを運んでから左足を振りぬく。グラウンダーの鋭い一撃がGKの指先を抜けてゴールイン。歓喜の10番は興奮した表情でベンチ方向へ走り出すと、チームメートたちと抱擁を繰り返した。

 10番はチームのために役割を全うした。今大会の2次リーグまでは先発出場。だが、決勝トーナメントに入ってからはベンチスタートになった。代わりに先発となったFWジルマ・イバンがその運動量とパワーで相手の体力を削り、勝負どころで稲畑が得点を奪う狙いがあったが、本人は当初納得することができずに伊室英輝監督に先発を直訴したという。だが、「(ジルマが)オマエのために相手を疲れさせてくれる。オマエがおいしいところを持っていけ!」と説明されて“スーパーサブ”の立場を受け入れた。そのFWは決勝トーナメント全3試合で計4ゴール。得点力を発揮してチームを全国へ導いた。
 
 前線で起点となり、その高さは守備面でも力になる。そして左足シュートでゴールを連発する10番。自身初の全国大会へ向けては「全国では先発で出て結果を出す。サブでも自分が試合を決定づけたい」。もちろん、絶対的なエースとして先発で活躍できるように努力をする。仮に先発出場が叶わなくても、自分の役割であるゴールを形として残すだけだ。

[写真]延長後半10分、三重はFW稲畑が左足で決勝ゴール

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
【特設ページ】高校総体2016

TOP