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[MOM384]法政大DF山田将之(4年)_「やっと決められた」、待望のセットプレーからの一撃

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[5.30 関東大学リーグ1部第9節 流通経済大1-2法政大 多摩陸]

 チームがそして誰よりも本人が待ち望んでいた得点だった。開始2分に先制された法政大だったが追いつくと、後半44分に右CKからDF山田将之(4年=青森山田高)がヘディングシュートを叩き込み、逆転に成功。これが決勝点となり、法政大は流通経済大に2-1で勝利した。

 後半44分までの間、5度のセットプレーがあり、その度にゴール前へ飛び込んでいた山田だったが、相手に徹底マークされたことでフリーになれず。なかなかボールを触れなかった。それでも、この日最後のCKのチャンスをものにした。

 途中出場のMF長倉颯(2年=横浜FMユース)が入れたボール。芯を頭で捉えるとしっかり叩き込んだ。一度はGKオビ・ハウエル・オビンナ(1年=JFAアカデミー福島)に触られたが、強い弾道のシュートは指先を弾き、ゴールイン。決勝点が生まれた。

「長倉がいつも練習しているようないいボールを入れてくれたので。自分は競るだけでした」と話した山田は「GKに止められたと思いましたけど、ボールによく当たって最後は力で入ったのは良かった。狙い通りのセットプレーで、しかも自分自身が決められて良かったです」と振り返る。

 昨季はリーグ戦を通じて、4得点を挙げてきたDFだったが、今季は8試合を終えて無得点。この日ようやく今季初ゴールが生まれた。「監督からずっとセットプレーでの得点については言われていて。去年は何点か取れていたのに、今年は結果が出ない試合が続いていた。やっと決められて良かったです」。殊勲のDFは安堵の表情を浮かべた。

 法政大の長山一也監督は「セットプレーはCBが評価されるポイントのひとつ。そこで決められていなかったのは、彼自身も歯がゆさがあったと思う。今日決めることができたのは良かった」と思いやり、「これから毎試合、点を取るくらいの感覚でやってほしい。もっとできる選手だと思うので」とエールを送った。

 今季の法政大はおもに3-2-4-1システムを採用しており、山田は3バックの右を務めている。3バックでのプレーはキャリア初のこと。システム変更が決まったシーズン前には戸惑いもあったようで、「右も左もわからない状況だった」と言う。それでも「やってみたら自分たちに案外合っているなと思って、ある程度できる感じがしましたし、やりやすい」とすぐさま手ごたえを感じた。

 ここまでリーグ9試合をこなすなか、早くも新システムでのプレーは自分のものにしている。昨季の4バックよりも守備範囲が広がったことで、山田が攻撃参加するシーンは減るかに思われたが、機を見ては前へ上がるなど、積極的な姿勢は崩していない。「3バックで守る範囲は広いですけど、上がれるところはあるので」と話すとおりだ。

「(3バックの)浦和レッズやサンフレッチェ広島の攻撃参加を参考に前へ出られれれば。自分たちが攻撃に出やすくなれるようなプレーを意識してやっています」。Jクラブのプレーを参考に、自分自身の持ち味をチームへ活かせる守備を身に着けていく。

 今季の山田は法政大でプレーするだけでなく、FC東京で2種登録されると、既にFC東京U-23の一員として、ここまで3試合に出場している。FC東京への練習参加で得るものは多いようで「周りはプロで五輪代表は代表などの経験者が多い。レベルが高い選手がたくさんいて、素晴らしい環境なので。プレーを真似したり、いいところを盗むなどしていきたい」と誓った。

 将来的には日本代表を夢見るDF。「FC東京には現役の日本代表の選手もいるので。自分が見据えている目標にいる選手が身近にいるのは恵まれていると思う。そういうのは自分の中で欲していかないと上にはいけない」と先を見据えた。

 上を目指し、その目標を口に出すほどの覚悟はある。わずか数ヶ月で3バックでのプレーをものにし、今節ではセットプレーでの得点も記録した。ひとつひとつの経験をものにし、自信に変えては選手としての引き出しを増やしていく。その先に日の丸を背負う日がやってくると信じて、山田は努力を重ねている。

(取材・文 片岡涼)

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