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日本vsボスニア・ヘルツェゴビナ 試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

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[6.7 キリン杯決勝 日本1-2ボスニア・ヘルツェゴビナ 吹田S]

 キリン杯は7日、市立吹田サッカースタジアムで決勝を行い、日本代表はボスニア・ヘルツェゴビナ代表に1-2で敗れ、準優勝に終わった。

以下、試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

バヒド・ハリルホジッチ監督
「もちろんガッカリしている。我々には他の結果を出せるだけの資格もあったと思うが、2失点に関しては集中力を欠いていたし、正直なプレーが多かった。1失点目は点を取った直後の失点だった。『点を取ったあとの5分間は気を付けろ』とミーティングで言ったばかりだった。2失点目はFKからで、1本のパスで全員が置き去りにされた。

 何人かの選手はすでに頭の中がバカンスだったのか、集中力に欠けていた。選手には『ボスニアはブルガリアとは全然違う』という警告を出していた。後半からは遠藤を出してデュエルでパワーをもたらそうとした。後半はしっかりコントロールできたと思うが、2失点目をこんな簡単にやられてしまうのは正直すぎると思う。多くの決定機をつくったが、同点にはできなかった。ブルガリア戦で我々は少し情熱的になり過ぎた。この2試合目で現実に引き戻された。まだまだやることはたくさんある。特に何人かの選手にはフィジカル的にもっとハイレベルな状態になってほしい」

―後半、最後のところで崩せなかったのは何が足りなかったからだと思うか。
「美しい決定機はつくった。ちょっとした差だったと思う。最後の正確性に欠けた。浅野がフリーになった場面もあった。あそこは簡単に決められたと思うが、パスを選択した。まだ21歳。ただ、21歳といっても、たくさんの決定機があった。経験が足りなかったのかなと思う。

 相手はフィジカル的なパワーでまさっていた。FWがすべてのデュエルに勝ってしまう。そのパワーに対抗できなかった。5、6人の選手が190cm前後だった。それは簡単なことではない。あらためて思うのは彼らが偶然、FIFAランキングで20位になったわけではないということだ。モチベーションが高かったし、守備もしっかりやってきた。何人かの選手はブルガリア戦と同じプレーをもう一回やろうとしすぎたのかもしれない。プレーを難しくしすぎて、カウンターを受けた。複雑なプレーをしすぎたからだ。ただ、良いレッスンだったと思う」

―W杯アジア最終予選に向けた収穫は?
「収穫はもちろんあった。ボスニアは我々よりゲームをコントロールした。我々はそこまで多くの決定機をつくれなかった。ブルガリア戦は決定機に4、5回失敗したが、こういうハイレベルな相手にはそんなに失敗できない。フィジカル的に準備できていない選手もいた。疲労もあって、何人かの選手は本当にきつい状態だった。フィジカル的に100%でないと、我々のやりたいプレーはできない。パワーでは対抗できないし、個人のプレーでもなかなか打開できない。我々の長所は、組み立てをしっかりやって、流動性を持って、最後、リアリストになるということだ。

 2失点に関しては、正直にプレーしすぎた。しっかりブロックを固めて引くこともできたはずだが、2失点目は1本のパスで全員が置き去りにされた。ガッカリしているが、まだやらなければいけないことがあるということが分かった。A代表でプレーしたければ、フィジカル的にもっともっと良い状態になってほしい。100%の準備ができないと、最終予選には呼べない。100回もチャンスはあげられない。みんなが努力してほしい。

 こういう結果になったことは失望しているが、難しい試合になることは予想していた。違う結果になるだけの資格もあったと思うが、ボスニアのほうがリアリストだった。我々は正直者すぎた。疲労もあったが、集中力に欠けていた。何人かの選手は頭がバカンスにいってしまっていたのかもしれない。Aチーム(欧州組を含めたフルメンバー)を率いて初めての敗戦になるが、これも受け入れないといけない。私は負けは大嫌いだが、すべての試合に勝つことはできない。最終予選でこのような敗北をしないことに期待している。このチームの長所も短所も完璧に把握できている。そこまで悪いゲームはしていない。しかし、やられてしまった。2失点に関しては正直者でありすぎたのかなと。あとは集中力を欠いたのかなと思う」

―キリン杯2試合での収穫は?
「2試合で8点取った。相手は2チームとも欧州の国だった。ボスニアから4点、5点取れたら良かったが、そんなことはあり得ない。キヨ(清武)や浅野、宇佐美に決定機があった。4、5回チャンスをつくったことはポジティブだと思う。1試合目に関しては熱狂的な結果で、このような結果が出るとは思わなかった。ただ、ボスニア戦に関しても美しいアクションがあった。

 一番ガッカリしたのは、フランス語ではナイーブというが、日本語ではバカ正直ということだ。相手は190cm前後の選手5、6人いた。彼らのFKやCKは毎回、決定的なチャンスになる。マンツーマンで対応したが、190cm対170cmでは簡単に勝つことはできない。今後、いろんなところに行って、身長の高い選手を探さないといけないかもしれない。このチームに何が足りないかはしっかり把握している。

 なぜ集中が足りなかったか。疲労があるのは分かっている。バカンスのことも考えていたと思う。我々は人間なので、10か月もシーズンを送ったあとに休みたい気持ちがあるのは分かる。親善試合でもあった。ただ、最終予選でこういったことは絶対に許されない。結果のみが私に満足を与える。すべての勝利はしっかりとした準備からもたらされるものだ。負けたということは、私がしっかり準備できていなかったということ。私の責任だ。今日の試合は本当に勝ちたかった」

―事前合宿で本田がケガをしたが、監督がしごき過ぎたのか、それとも日本の選手が体力的に弱いからだと思うか。
「ゲームの中でケガは起こり得るものだ。海外組はシーズンが終わって、何日か休んでトレーニングした。本田に関してはものすごくパフォーマンスが良かった。本田も香川もこんなにパフォーマンスが良いところを初めて見た。香川は(ブルガリア戦で)見せてくれたが、本田はケガをしてしまった。本田に関しては、(練習中のミニ)ゲームでものすごく足を高く上げてボールを探してしまった。そこで筋肉の問題が起きた。しかし、今までにこうした筋肉のケガは起きていない。

 海外組はシーズンの最後で、心理的にもフィジカル的にも疲れている中で管理するのは難しい。岡崎はシーズンが終わって1週間から10日間ほど、完全にプレーしていなかった。そのあとまたプレーしないといけなかった。これは簡単な調整ではない。日本はダイレクトプレーでパワーを見せられるようなチームではない。スピードがベースになる。2mの相手にどのような守備をしないといけないか。テクニックがあり、落とすのもうまい選手に対応するのは簡単ではなかった。良いレッスンになったと思う。

 これまで筋肉系の問題は起きていなかった。初めて本田で起きた。その原因も分かっている。疲労が原因ではなく、ある現象として、たまたま足を高く上げたときに筋肉の問題が起きた。(EUROに臨む)フランス代表は4、5人の選手がケガをしてしまっている。完全に休んだあとにまた再開することは簡単ではない。ただ、私は6月のシーズンをどのように準備すればいいか分かっている」

―競技規則が改正されて初の大会だったが、選手に注意したことはあるか?
「心の底から正直に言うが、それについては考えてもいなかった。我々にはあまり関係のないことなのかなと思っていた。審判の方が合宿に来て説明は受けたが、私にとってはもっと重要なことがあった。それに関しては本当に考えてもいなかった」

―後半、ある程度ゲームをコントロールできるようになったと思うが?
「相手はパワーで対抗してきた。相手の8番と18番が補足関係をうまくつくっていた。18番と8番の関係に対し、パワーが足りなかった。190cm前後の選手が5人いて、FWは2m近くあった。すべてのFK、CKが危険だった。マンツーマンでもっと寄せないといけなかったが、10番がかなり引いて足元でもらっていた。キヨにできるだけ高い位置でマークしろ、そしてハセ(長谷部)には『13番についてくれ』、遠藤には『8番をしっかりマークして森重と(吉田)麻也の近くにいてくれ』と指示した。遠藤は空中戦もデュエルも強い。後半はしっかりゲームをコントロールできた。相手は2点目のシーン以外、危険な状況をつくれなかった。遠藤の入り方には満足している。宇佐美に少し疲労が見え始め、(長友)佑都も体力的に疲れていた。そこで変更を加え、小林祐希や他の選手を入れた。

 ただ、浅野の決定機は絶対に決めないといけなかった。キヨにもあった。我々はこんなに攻撃したのに(相手のゴール前で)一回もFKをもらえなかった。相手はファウルを誘ったが、我々にはそれがない。我々のチームはバカ正直なのではないかと思う。この2試合で、最後の30mのところでFKがなかった。私にとって、それはあり得ない。そこもトレーニングしたい。今回の合宿ではあえてCKのトレーニングをしたが、相手のほうがチャンスをつくっていた。この2試合でチームはかなりスペクタクルなところも見せた。キヨが決めた1点目は素晴らしいプレーだった。2点目も決められたと思うが、キーパーが良いセーブをした。しかし、言い訳はしたくない。負けたら満足してはいけない。ガッカリしているし、怒ってもいる。負けたら私は病気になってしまう。これは私の責任。良いこともたくさんあった。しかし、敗戦を簡単には受け入れられない。私は勝利しか目指していない」

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