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[MOM1800]長崎総合科学大附DF前野翔伍(3年)_ボランチから転向直後の堅実SB、流れ引き戻す先制弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.10 総体長崎県予選決勝 長崎総合科学大附高 3-0 島原商高 長崎県立総合運動公園陸上競技場]

 先制の絶好機を逸した直後だっただけに、その得点の価値は大きかった。長崎総合科学大附高は前半4分に獲得したPKを失敗。試合の流れが島原商高に移りかけたが、その直後に左SB前野翔伍(3年)が先制ゴールを決める。

 6分、U-17日本代表FW安藤瑞季(2年)が左サイドからPAまで持ち込むと、中央の背番号6へパス。攻撃参加した流れで「このまま上がって行こうと思った」という前野は中央でボールを受けると、PA外側から正確な右足シュートをゴール左隅へねじ込んだ。エンジとイエローのユニフォームに笑顔が広がる。前野は「チームとして先制点が欲しかったし、決めたかった。(納得の行くシュートではなかったが)入って良かった」と微笑んだ。

 新人戦九州大会ではボランチとして存在感。非常に気の利く、堅実な守りと正確なパスでチームの3位に貢献した。だが、小嶺忠敏監督は「ボランチに置きたいけれどSBがいない」という理由で厚い信頼を置く前野を左SBとして起用。判断力の高さと指揮官も認める人間性の持ち主は「視野は180度ですし、考えるのは楽かなと思います」と初挑戦のポジションでも順応した。

 そして小嶺監督が「2日前に知ったんですよ。知らなかった」という50m走6秒前半の“隠れ”快足の持ち主はワンツーなどから一気に前線まで駆け上がって決定的な仕事をする。この日は右サイドからのロビング気味のボールに走りこんでスライディングボレーを放つなど躍動。守備面でも1対1で無難な対応を見せるなど、無失点に貢献して自身初となる全国出場を決めた。

「ポジションは3つできたらいいと言われている。選手として幅が広がるのでいいと思っている」と前野。現在は目標とする選手についてもボランチの選手ではなく、日本代表のSB酒井宏樹を挙げ、「クロス正確だし足下もあって上がるタイミングもいい。勉強している」と自身の成長のための教材にしているという。初めてプレーする全国大会へ向けては「一つひとつ勝ち上がっていきたい。個人としては、とにかく『あのSBは危険な選手だ』と言われるように。隙のないプレーがしたい」。転向後わずかのSBが全国までにより成長を遂げて、隙のないプレーを見せる。

[写真]前半6分、長崎総合科学大附は左SB前野が右足で先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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