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5戦ぶり先発の東京V澤井、「ここ2、3年やっていた形」で同点弾

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[6.12 J2第18節 千葉2-2東京V フクアリ]

 プロ入り後、ひたむきに続けてきた練習が実を結んだ。東京ヴェルディは0-2から2点を返し、ジェフユナイテッド千葉と引き分けた。同点弾となったのはMF澤井直人が決めたミドルシュート。2014年にトップ昇格してから、ずっとトレーニングを積んでいた形での得点だった。

 5戦ぶりに先発起用され、「ストロングである運動量などを出せれば、チームにとってプラスになる」という意気込みで2列目右サイドでプレー。しかし前半はなかなかボールに絡むことはできず。結果を出そうという気持ちだけが先走り、空回るシーンも多かった。それでも後半に入り、徐々にボールへ触れる時間が増えると、見せ場を作り始めた。

 1-2の後半35分、DF高木純平の右クロスをFWドウグラス・ヴィエイラが頭で落とし、DF大久保裕樹にクリアされるも、PA手前で拾った澤井が左足を一閃。

「ボールがこぼれてきたときに、シュートコースも空いていた。トラップしたら取られるなと思ったので。(利き足と)逆足でしたけど、振ろうと思いました」。グラウンダー気味のシュートはゴール左へ決まった。

 日々の練習後には大ベテランMF永井秀樹(45)の教えを受け、ミドルシュートの練習を重ねていた。その永井は、故障からの復帰2戦目となった8日の岐阜戦で左膝を負傷し、再離脱。「前節で永井さんがああいう形になってしまって。永井さん自身も苦しいと思うけれど、それを全員が背負ってやらないといけないと思っていた」。大先輩への思いを胸にピッチへ立つと、トレーニング通りのシュートでネットを揺らした。

「普段の練習が終わった後、ミドルシュートの形を永井さんとずっと練習していました。ここ2、3年でやっていて、なかなか結果は出なかったですけど、日頃からやってもらっているのを出せたから良かった。ホッとしてます」

 ようやく結果を残したMFは「素直に嬉しかった。まだ同点だったのであまり喜べなかったですけど……」と言いつつも、「本当に永井さんに感謝しかないです」とハニかんだ。

 同点弾を決めた澤井だったが、90分を通じての自身のプレーには満足いかない様子。「(自分自身)もっとできると思うし、チームも勝てていないので。次のホームゲームで結果を出したい。あそこの位置でもっともっと怖い選手になれれば」と強く誓った。

 愚直といえるほどにボールを追い続ける。そんな運動量が一番の持ち味だったMFがミドルシュートという武器をものにしようと、もがいている。好調な波に乗ったと思いきや振り落とされ、必死にしがみつくことを繰り返し、今節でまた結果を残した。待ちに待っていたこの一本を契機に、より相手へ脅威を与える選手になっていく。

(取材・文 片岡涼)

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