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[総体]もがきながらも勝ち続ける関東王者・駒澤大高、東京突破を懸けた準決勝へ進出!

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[6.12 総体東京都予選準々決勝 駒澤大高 4-0 東大和南高 清瀬内山G]

 12日、平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(広島)への出場権2枠を懸けた東京都予選の準々決勝2日目が行われ、今年の関東大会優勝校である駒澤大高がMF米田泰盛(3年)のハットトリックの活躍などによって東大和南高に4-0で快勝。駒大高は18日の準決勝で全国大会出場を懸けて関東一高と戦う。

 駒大高の大野祥司監督は関東大会優勝の大きな要因として「応援を頑張ってくれている」と語り、「最後はそこ」と口にした。優勝した関東大会、そしてこの東大和南戦も「もがいて上手くいかない」試合だったが、それでも東京を代表するCB佐藤瑶大(3年)が「鳥肌立つんですよ。関東の1回戦目(対正智深谷高)も立ち上がりに先制されて後半ラスト20分で点を取ったんですけど、応援がなかったら勝てなかった」と評した部員270人の応援という後押しを力に、気持ちの部分で負けない駒大高は勝ち続けている。

 この日も立ち上がりは良くなかった。佐藤は「前半の立ち上がりからボールの奪い方が分からなくなって、入り方も悪くて、チーム全体がバタバタしてしまって良くなかった。試合中のコミュニケーションが取れずに全然チームとしてまとまることができていないと思っています」。対して、今大会の決勝トーナメント1回戦で選手権予選準優勝の堀越高を破るアップセットを果たした東大和南は、前半3分にFW平塚真史(3年)がバイタルエリアを斜めにドリブル。大きくボールを運んでから出した縦のスルーパスにFW住谷大輝(3年)が走りこんでいきなりチャンスをつくり出す。これは駒大高GK征矢楽土(3年)が素早い反応で蹴り出したが、意欲的な挑戦者は関東王者に対して臆することなくポゼッションを展開して攻めていく。

 だが、東京ベスト4を懸けた戦いではわずかなミスが失点に繋がってしまう。7分、自陣PA付近でボールを繋ぐ東大和南は厳しいチェックを受けたMFがGKへ戻すが、ゴールを離れた蹴ったキックが右中間にいた米田の足下へ。米田はすかさずGK不在のゴールへ右足ミドルを蹴りこんでリードを奪った。それでも佐藤が「間間に立たれてやりにくかった」と評したように、東大和南は後方に下がって攻撃を組み立てるMF広瀬将一(3年)やMF根本勇歩(3年)を起点に、存在感放つFW平塚やFW宮尾慧吾(3年)、FW田中大地(3年)らが絶妙なポジショニングから少ないタッチのパスワーク。駒大高のプレスを剥がして前線までボールを運ぶと、18分には平塚が右足を振りぬき、26分には左サイドでDFを振り切った平塚のラストパスに住谷が飛び込んだ。

 健闘する東大和南だが、駒大高はチャンスを確実に活かしてくる。関東大会から好調の続くというMF服部正也(3年)の配球や左SB村上哲(3年)のサイドチェンジなどから攻める駒大高は27分、右サイドのMF小池浩然(3年)が中央へパスを入れると、MF菊地雄介(3年)がダイレクトでPAへ落とし、これに走りこんだFW影山克明(3年)が右足シュートを決める。東大和南も反撃するが、いずれも選手権8強時の主力だった佐藤、CB西田直也(2年)、右SB高橋勇夢(3年)、村上の駒大高4バックの壁は高く、ゴール前に入れたクロス、セットプレーは佐藤らに完璧に跳ね返されてしまう。加えて駒大高の佐藤が「前半最後の方はシュートまで打たれなかったんですけど、縦パス入った選手に対してうしろからガツッといくことを西田と話してやった」というように、起点をつくらせてもらえなかった。

 この日の駒大高は選手権で先発していたMF栗原信一郎(3年)やMF矢崎一輝(3年)、また注目守護神の鈴木怜(3年)も欠く中での試合。より力を発揮するための組み合わせを模索するチームは関東大会で1年生ながら優秀選手に選出されたCB斉藤我空をボランチでプレーさせたり、後半、長身CB西田をFWに入れるなど色々な試みをしていた。そして16分には前線で西田がポイントとなり、抜け出した米田が縦の仕掛けから3点目。24分にはDFと競りながら強引に前に出た米田が右足シュートをゴール左隅へ沈めた。

 公式戦、トレーニングでも上手くいかないことが多かったという駒大高だが、大野監督が「選手たちも危機感持っていた」という中で4-0快勝。内容は満足の行くものではなかったが、しっかりと準決勝進出を決めたと同時に西田のFWとしての適性など新たな発見があり、また交代出場のDF椿原悠人(3年)らがアピールするなど関東一との大一番へ向けて前向きな試合となった。それでも選手たちは昨年の3年生たちのようなひたむきさ、献身性が足りないと感じている。

 米田は「去年はとにかく運動量が多くて、春川選手とか竹上選手が良く走っていた。自分たちはまだ運動量が足りない。駒大のコンセプトである守備から勝ちたい。球際とか個の部分がまだまだ弱い。立ち上がりに流れをつくるのはまず球際だったりするので、まず負けないようにしたい」と語り、佐藤は「向こうはインターハイでベスト4。技術もチーム力も上。まとまってやらないと勝てない。選手権から6か月くらい経ったけれど、去年の3年生の存在が大きかったというのを感じています。ハードワークできる選手が少ない。自分も動けないんですけど、その中で献身的な守備できる選手が出てくれば関一にも勝てる。無失点で何が何でも勝ちたいです」と力を込めた。

 例年以上に技術面に自信を持っている選手たち。まだ足りないと感じている部分を向上させ、チームとしてのまとまりを高めて準決勝を戦う。もちろん、メンバーはともに昨年から入れ替わっているが、昨年の全国総体4強と全国選手権8強が予選突破を懸けて激突する注目対決。大野監督が「チャレンジして精神的に落ち着いてやれれば」と期待した大一番を制して、駒大高が全国切符を勝ち取る。

[写真]前半27分、駒大高はFW影山が2点目のゴール

(取材・文 吉田太郎)
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