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あの涙を糧に…シュートを選択しダメ押し弾の浅野「味方は見えたけど」

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[6.29 キリンチャレンジ杯2016 U-23日本代表 4-1 U-23南アフリカ代表 松本]

 シュートしか選択肢にはなかった。3-1で折り返した後半立ち上がりの3分。DF植田直通が自陣から低い弾道のロングフィードを送ると、DFがクリアし切れず、裏を突いたFW浅野拓磨(広島)にボールが通った。

「植田が持った瞬間、出てくると信じて走った。相手のクリアミスもあったけど、そこで今日は落ち着いていられた」。カバーに入ったDFが寄せ、GKも前に飛び出してきたが、冷静に右足で無人のゴールに流し込む。浅野の背後からMF伊東純也も追い越して行こうとしていたが、ストライカーらしく自らフィニッシュした。

「味方は見えたけど、シュートを選択して、その結果、ゴールになって良かった」。シチュエーションは異なるが、A代表での苦い経験を生かした。7日に行われたキリン杯決勝ボスニア・ヘルツェゴビナ戦。後半アディショナルタイム、PA内に進入した浅野はシュートではなくパスを選択し、決定機を生かせなかった。試合後、悔し涙を流した21歳はその後のJリーグでも「あの経験があるからこそ、ゴールの意識は非常に強くなっている」と、貪欲に結果にこだわってきた。

 2トップの一角で先発し、後半14分までプレー。2-1の前半アディショナルタイムには相手のバックパスをカットし、FW中島翔哉の追加点もアシストした。自身のパフォーマンスについては「満足できるものではない。FWとしてもっとゴールを取れた。ボールを失った場面もあったし、そこは課題として出た」と、高い要求を課すが、1ゴール1アシストという結果は十分に及第点だろう。

「ゴールで勝利に貢献したかったので、そこは成果として挙げてもいいかなと思う」。得点後はお馴染みのジャガーポーズも披露した若武者はそう言ってようやく笑みをこぼした。

(取材・文 西山紘平)

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