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北澤豪の新コラム“ゲキつよっ!!”スタート「若手の台頭と、ベテランの意地を見たJ1第1S」

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 解説者の元サッカー日本代表北澤豪氏による新コラム「ゲキつよっ!!」がスタートします。日本代表からJリーグ、海外サッカー、育成年代、フットサル、障がい者サッカー……、幅広いフットボールに精通する北澤氏が、テレビでは語り切れない魅力を綴っていきます。

 J1第1ステージは、鹿島アントラーズの“ステージ優勝”という形で幕切れとなった。1位鹿島、そして最終節まで優勝争いを演じた2位川崎フロンターレは、どちらも“チームカラー”が濃く出ている。鹿島は柴崎岳選手、土居聖真選手、昌子源選手、植田直通選手ら若手の成長著しい。一方、川崎Fはパスを徹底的につないで相手を崩すサッカーを展開している。どちらも他のチームが目指すべき指標のひとつといえるだろう。

 他に気になる“色”を出していたのが、今季から吉田達磨新監督を迎えたアルビレックス新潟だ。J1第1ステージ第11節からのガンバ大阪(△0-0)、浦和レッズ(△0-0)、川崎F(△0-0)の上位チームとの連戦では3試合連続無失点を演じた。結果だけを見れば守り切った印象があるかもしれないが、実際に試合を見ると引いて守るのではなくアグレッシブな守備を見せていた。吉田監督が就任してパスをつないでいく部分も徐々に浸透してきている。13位と順位は芳しくないが、自分たちの“色”を出しているチームの第2ステージに期待したい。

 個人に目を移すと、浦和の遠藤航選手が圧倒的な存在感を放っている。U-23日本代表で主将を務める遠藤選手は、今季から加入した浦和においても欠かせない。チームはアジアチャンピオンズリーグで敗退し、第1ステージ優勝争いからも脱落してしまったが、彼の加入で最終ラインからパスを組み立てていく浦和のレベルは一段階引き上げられた。余計な手数をかけず、的確にパスをさばいていく。その恩恵を受けているが槙野智章選手。今季、槙野選手の攻撃時のミスが減っているのは、いい状況のときに遠藤選手からのパスが供給されているからだろう。ベテランを思わせる23歳のこれからの成長が楽しみでならない。

 同じくU-23日本代表の矢島慎也選手(岡山)も1月のアジア最終予選を経て、ひと皮むけた印象がある。今日(1日)にはリオデジャネイロ五輪に向けたメンバー発表が待っている。6月29日のU-23南アフリカ代表戦(○4-1)では多くのメンバーが活躍。手倉森誠U-23日本代表監督の頭にはメンバー構想はあるようだが、6月20日の会見では「差し替えも可能」と話しており、オーバーエイジも含めてどんな選考になるのか、発表が待ち遠しい。

 23歳以下の若手の活躍が目を引く一方で、ベテランたちも見逃せない。川崎Fの中村憲剛選手と大久保嘉人選手、横浜FMの中村俊輔選手と中澤佑二選手。30歳を大きく越えた現在もいまだに替えの効かない存在となっている。「年齢は関係ない」というセリフを耳にすることもあるが、やはり加齢による衰えは無視できない。それでも彼らが活躍しているのは、「プレーの出来を年齢のせいにしない自覚」を持っているからだろう。気合いの入ったプレーを続けているベテランの姿は「素晴らしい」の一言に尽きると思う。

 明日からは早くもJ1第2ステージが開幕する。8月はリオデジャネイロ五輪、9月からはロシアW杯アジア最終予選と、日本サッカー界にとって重要な試合が相次ぐ。12月のクラブW杯、そして天皇杯まで、2016年下半期もサッカーファンを楽しませてくれそうだ。

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