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[プリンスリーグ関東]前半に退場者出した浦和ユース、我慢の戦いを1-0で制し「首位の強さ」示す

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[7.9 高円宮杯プリンスリーグ関東第8節 浦和ユース 1-0 三菱養和SCユース 浦和駒場]

 高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プリンスリーグ関東は9日、第8節を行った。首位・浦和レッズユース(埼玉)と勝ち点1差の2位・三菱養和SCユース(東京)との首位攻防戦は前半33分に退場者を出しながらも10人で守った浦和が1-0で勝利。首位を守った。

 普段から7対8など数的不利のトレーニングをすることもあるという浦和。退場者を出しても良く落ち着いて残りの約60分間を無失点で切り抜けた。カウンターから追加点を奪うことはできなかったが、それでも個々が役割を全うして掴んだ勝ち点3。浦和の大槻毅監督は試合後、「きょうも成長したんじゃないですか」と厳しい戦いを制した選手たちを賞賛していた。

 立ち上がりからボールを握って攻めた浦和は前半8分、敵陣で奪われたボールをMF大西翔也(2年)が激しいチャージで奪い返す。これを起点にショートカウンター。MF渡辺陽主将(3年)が出したスルーパスに走りこんだFW時里元樹(3年)が右足で先制点を叩き出す。

 その後も攻める浦和は渡辺がサイドへボールを展開し、左FW川上エドオジョン智慧(3年)や右SB池高暢希(1年)がクロスへ持ち込む。対する三菱養和は主軸DF杉山耕二(3年)らが不在。代役としてCBに入った穴吹瞬平(2年)が最終ラインで健闘するなど我慢強く守ると、奪ったボールを素早く繋いで攻め返した。だが、球際でのチェック厳しい浦和の前に、10番FW平山駿(3年)とU-16日本代表FW中村敬斗(1年)の2トップにいい形でボールを入れられなかった。

 それでも33分、試合展開が一変する。浦和は右サイドからPAまで持ち込んだ時岡が失ったボールをタックルで奪い返そうとしてファウル。この日2枚目の警告を受けて退場してしまう。それでも渡辺が「前半のうちは自分たちでピッチ内で話した。自分たちで前半喋れたのは成長」と振り返ったように、4-3-3から4-4-1システムに変更した浦和はピッチ内で選手たちが声を掛け合って状況を共有。相手にセットプレーを与えながらも、守備重視の割り切った戦いに切り替えて前半を乗り越える。

 ハーフタイムに受けた指示を加えて後半はより守備に重きを置いた浦和に対し、ボールを完全に支配した三菱養和が攻め続ける。6分には左MF高橋ラシード(3年)のクロスがファーサイドのMF({齋藤一))主将(3年)まで届いたが、浦和CB関慎之介(3年)がブロック。浦和は横にボールを動かす相手の攻撃に対して守備のスライドを徹底した。三菱養和は左の高橋、右のSB久保井俊喜(3年)がタッチライン際からクロスまで持ち込むが、増子亘彦監督が「なかなか中が取れなかった。中とのタイミングが課題」と口にしたように、懐をえぐったり、中央とのコンビネーションで崩すシーンをつくることができない。

 一方の浦和はU-19日本代表CB橋岡大樹(2年)が終盤になるにつれて存在感。気迫溢れるクリアでチームを鼓舞したほか、大槻監督がその守備面での奮闘を讃えた右FWシマブク・カズヨシ(2年)らがサイドで相手を献身的に挟み込み、また中央でボールを奪った渡辺がカウンターに繋げる。33分には右クロスのこぼれを平山に狙われたが、橋岡が身体を張って阻止するなど得点を許さない。後半30分までは焦れずに守り、終盤は川上のスピードを活かしたカウンターを狙いながら試合を締めた。

 橋岡は「8人対7人でゲームしたりするのはある。その経験があるので、きょうもあまり焦らずにできた。ああいう場面でも無失点で抑えられたのはチームとして大きい」。浦和は公式記録でのシュート数は時岡が決めたゴールの1本のみ。我慢の戦いを強いられたが、それでも1-0で勝ち、首位を守った。大槻監督が評価したのは選手たちが変化を感じて対応したこと。「試合中に中で観察して、いいところを見てやっている」。そして個々がハードワークを徹底。首位攻防戦でライバルを圧倒するには至らなかったが、それでも“大人のサッカー”で首位争いをリードするチームの強さを示した。

(取材・文 吉田太郎)
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