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ヒガシの10番から鹿屋体育大の10番となったMF松田天馬、全日本へ返り咲き狙う

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[7.16 大学選抜合同選考会 中央大G]

 自身の立ち位置を冷静に見つめ、内には強い向上心を秘めている。鹿屋体育大のMF松田天馬(3年=東福岡高)は全日本大学選抜の一員として、大学選抜合同選考会へ参加。トップ下でプレーしては得点を決めるなど結果を残した。

 1本目のU-19全日本大学選抜戦で途中出場。1-1の状況でトップ下に入った。出場直後にはDF2枚を背負って、正面から突破を試みたがシュートを打つ前に弾かれた。それでも41分、MF脇坂泰斗(阪南大3年=川崎F U-18)のパスから右サイド裏へ抜け出し、GKとの1対1を冷静にシュート。ゴールネットを揺らした。

「コンディションはあまり良くなかったですけど、気持ちの部分は見せられたかなという感じですね」と振り返ったMFは「最初に相手を背負ってボールを取られたので、背負うのは無理だなと思って、どんどん背後を狙っていった。外から見ていて、裏を狙っていけるなと感じていたので」と“狙い通り”のプレーだったことを明かす。

 今年3月に行われたデンソーカップチャレンジ宮崎大会を戦う全日本大学選抜に選出されるも、直後のマレーシア遠征ではメンバー落ち。「(デンチャレで)自分の持ち味を出せなかったので落とされて当然だな」と受け入れたものの、心の奥底では「めちゃくちゃ悔しかったです」と言う。

 その後は九州の地で日々練習を重ね、今回の選考会で全日本大学選抜への返り咲きを狙った。「前回落とされたことは今思えばよかったと思います。あれがあって、もっと自分を出していこうかなと思うようになった」。

 そう話したとおり、デンチャレでは味方を活かすための“受身”なプレーが多かった印象だが、この日は果敢にバイタルエリアでチャレンジしては、ゴールを目指していた。そんな姿勢は結果を生んだ。

 関東や関西ではなく、九州の地からアピールを続けるMF。全国の強豪校と試合をする機会は少ないが「(九州でやっていると)自分が今、どのくらいのレベルにいるのか分からないというところがありますけど、そこでモチベーションを下げないように試行錯誤しながら、自分なりにやっています」と気丈に語る。

 関東などの強豪校で実力者に囲まれてプレーするのも、成長への近道かもしれないが、松田は鹿屋体育大で下級生時から中心選手としてプレーすることで「責任感は鍛えられたかなと思います」と強調した。下級生時から多くの試合を経験し、チームを背負う覚悟を胸に戦う日々は成長を後押ししているに違いない。

 選考会を終えた松田は「全日本大学選抜への定着を狙っているし、鹿屋体育大ではチームとして全国優勝を狙ってます」と話し、「できるだけ上を目指して、将来は海外でプレーしたい」と上を見た。ヒガシの10番から鹿屋体育大の10番となったMFの挑戦は続く。

(取材・文 片岡涼)

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