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[クラブユース選手権(U-18)]PICK UP PLAYER vol.3(名古屋U18菅原由勢)

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 17年U-17W杯の出場権をかけたAFC U-16選手権インド2016が9月に行われる。“00JAPAN”と呼ばれるU-16日本代表の中心にいるのは、名古屋グランパスU18の菅原由勢(1年)だ。チームでの登録こそMFだが、本人が「試合に出られるなら、ポジションはどこでも良い。チームとしてやるべきことをこなしながら、勝利のために走って戦うだけ」と口にするように、与えられたポジション全てで溢れんばかりの気持ちの強さと豊富なスタミナを発揮。森山佳郎監督の信頼も厚く、U-16日本代表のキャプテンマークを託されることも珍しくない。

 所属する名古屋U18でも、すでに欠かせない存在となっている彼の転機となったのは、昨年9月にAFC U-16選手権の予選突破を決めた直後に、木村浩吉団長からかけられた言葉。「ユースに上がってからも、日本代表に選ばれ続けたいなら、1年目からレギュラーを獲りなさい」とハッパをかけられ、1年目からのレギュラー奪りを誓った。奇しくも名古屋は今年に入って高田哲也前監督から、山崎真監督へと指揮官が代わり、ゼロからの競争がスタートしたばかり。「1日1日が勝負だと思って、全力で取り組んできた」と振り返る。

 意気込み通り、プレミアリーグWESTの開幕戦ではボランチでスタメン出場を果たしたが、ルーキーがすぐに活躍できるほど、プレミアリーグは甘くない。打倒・名古屋を目指した昇格組の神戸弘陵高の勢いに飲まれて、前半だけで2失点。菅原自身も思うように試合の流れに付いていけず、ハーフタイムを機にベンチへと下げられ、「気持ちの整理がつかないし、なんでだろうという気持ちがいっぱいだった」。

 一つ上のカテゴリーの洗礼を浴びたものの、この試合を機に「プラス思考になれた」。「もっと自分が引っ張っていかないといけないと思えたし、守備が安定しないと言われた中で相手に攻撃をさせないという想いが強くなった。でも、一番変わったのはメンタルの部分。『どんな相手でも掛かってこいや!』という気持ちで試合に挑めるようになった」と話すように、気落ちすることなく、続く第2節の京都U-18戦では、CBとしてスタメン出場。堂々としたプレーした初勝利に貢献すると、以降もスタメンの座を維持し続けている。

 ここまで大量失点を喫する試合も多く、満足の行く結果は残せていないが、1年目から試合経験を積めるメリットは大きい。175cmという身長はCBとして小さく、真っ向勝負を挑めば、フィジカルで負けてしまう。持ち前の気迫溢れるプレーはもちろんだが、「一人で止めることも大事ですけど、ピッチには僕以外に10人の仲間がいる。10人と協力しながら数的優位を作って、ボールを奪うことを意識してきた」。また、「スタメンの11人に入るってことは自分の中で誇り。(プレミアでは)仲間が運営を頑張ってくれたり、水を準備してくれたりするので、アイツらのためにもという気持ちが強くなる」と話すように重責を背負うことで以前にも増して精神力も増している。タフさが求められる夏の群馬は特徴を発揮する絶好の機会。チームを上位に導く活躍に期待したい。

(取材・文 森田将義)
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