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「陰で支えるような選手になろう」と決めてから始まった飛躍、市立船橋のJ注目DF原輝綺

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 全国高校総体に出場する市立船橋高はJ4クラブから争奪戦を繰り広げているというDF杉岡大暉主将に最も注目が集まっているが、それに負けないくらいに評価を高めている選手がいる。ボランチ、CB、そしてSBもハイレベルでこなす守備のオールラウンダー、原輝綺だ。昨年からチームの主軸を担ってきたが、突き抜けた安定感と多用性に関係者たちは注目。今大会を代表する存在のひとりであるDFが夏の全国大会へ向けて、また将来についてなど語った。

●DF原輝綺
―市船のトレーニング、ここが負けていないと言い切れる部分はどこ?
「どこの高校も違ったトレーニングはしていないと思うんですけど、自分たちは相手チームの対策っていう練習が極めて多い。他の高校と違って細かいポジションまで相手がこう運んだらどう動くかとか、より相手を意識して見て、味方がどこに立っていてという部分まで細かく合わせている。だから、試合中に何が起きても動じずに臨機応変にプレーできる」

―個人戦術は本当に良く伸びた部分
「そこはかなり大きいと思います。チームの練習で合わせながらも、個人個人が意識してやっているのでレベルアップしているし、選択肢も持てる練習でもあるので成長できている」

―安定感と多用性が突き抜けている原君は今の市船サッカーの象徴とも言える存在
「あんまり自分はどこやっても飛び抜けたものはもっていないので、アベレージ以上くらいまではどのポジションでもできるように意識しています」

―そのレベルが高いからまた注目されている。またトレーニングで声出している姿も目立つ
「求め合うことは大事だと思いますし、人に言えば自分がやらなくちゃいけないことでもあるので言うことは大事だと思います。今年はみんなで言い合って求め合えるチームだと思います。特に高(宇洋)なんて、積極的に周りに言うんでそういうチームなのかなと思います」

―1年から2年、3年と表現しているサッカーのレベルが上がってきている印象
「去年のサッカーを知っている3年生が多いですし、今年も変えることはあまりないのでそこは共有できているのかなと思いますね」

―今年の自分たちの強みとは
「みんなが上手く行かなくてもそれを受け入れてその場その場に応じたプレーができること。やっちゃいけないプレーをあまりしないし、どんな相手にも柔軟にできるのが強みかなと思います。あんまり自分たちのサッカーをこうしようとかない。ボール持っているのも相手を走らせるためということもありますけれど、別に回そうとか、そういう意識ではなくて、相手の変化をつくるっていうのが目的。相手の変化が出続けるのであれば、そこをどんどん突いていくし、変化が出なければ伺いながら飛ばすサッカーもできる」

―昨年のインターハイは忘れられない大会
「去年は決勝まで行って自分がPK外しているんで、優勝したいという思いが強いですけど、まだ決勝という思いは持たないで、初戦から一戦一戦そこにベストを持って行けるようにしていけば、決勝は自ずと見えてくるのかなと思います」

―優勝と準優勝の差を感じた1年
「いくら良いサッカーしたり、強いと言われていても勝たなくちゃ意味ないというのを大きく感じた1年だったので、まずは勝ちにこだわって絶対に負けないという気持ちは去年よりは強く持っています。」

―それがプレミアで首位争いをしていることにも繋がっている
「順位はあんまり意識していないですけど、まずは負けないことを意識している。自分は守備の選手なんで、まずは失点しないこと。そしてチャンスあれば攻撃に関わっていきたい。相手のいいところを消しつつ、相手の弱いところをついていけているのがこういう結果になっていると思う」

―Jの練習参加もして上を見据えている
「練習参加は自分の中でだいぶ大きかったです。高校の年代で通用しても、自分は高校では辞めないので、このままじゃ全然通用しないと思いますし、だからこそ今、一生懸命伸ばさないといけない。2つ練習参加して自分の課題は見つかったと思うので、日々の練習で改善できるように、そうすればチームにもいい影響を与えられると思う。」

―練習参加して感じた課題は?
「トラップ、パスは次元が違うと思いました。寄せも速いんで、ボール来る前にもっとどこにつけるとか考えないといけない。高校年代だとちょっとプレス遅ければ全然できちゃうけれど、ずっとその感覚でやっているとダメ。いかにボール来る前に、自分がボール持った時にどこが変化していて、どこが空いているとかイメージしながら、ボール持った時にはパスコースが見えているくらいになっておかないといけない」

―逆に強みになると感じた部分は?
「1対1は練習の中なんで分かんないですけど、練習会の中ではできたほうかなと思います。カバーリングは自分の強みなんでそこは発揮できたのかなと思います」

―元々プロになるという目標を持って市船に入ってきたと思うが
「高校入ってきて無理なんじゃないかと思うことが多々あったので。プロ内定選手とかは何かで目立つ選手が多かったので、何かで目立たないとダメなのかなと思っていましたし、自分はあんまり目立たないからダメなのかなと思ったんですけど。自分の強みって何なのかなと考えた時に安定感だったりとか、縦パスつけたりできるところだと思った」

―突き抜けた武器を持つよりも安定感ある選手になる決意
「そういう(突き抜けた武器を持つ)選手を見て目指したいなと思ったんですけど、ある日、自分に目を向けた時にそれだと全然いいプレーヤーになれないし、チームを陰で支えるような選手になろうと決めたのが高2の夏くらいからっすね。そこから自分の強みがだんだん出せるようになった。自分は(杉岡らに比べると)あんまり取材とか受けないですけど。(それでもチームを安定させていること)それが自分的に快感というか。陰で支えることが充実しています」

―今年は結果も求められる
「結果出し続けないと勝たないと評価されないと思っている。勝って当たり前のチームって言われているんでプレッシャーありますけれど、上に行けば行くほどそういうプレッシャーがある。そのプレッシャーを良い起爆剤にして頑張りたいと思います」

(取材・文 吉田太郎)
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【特設ページ】高校総体2016

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