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[クラブユース選手権(U-18)]強き“鳥栖愛”持つ石川啓人主将、トップの美点受け継ぐ奮闘

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[7.28 日本クラブユース選手権(U-18)GS第3節 清水ユース 5-5 鳥栖U-18 敷島]

 石川啓人サガン鳥栖U-18のトップ下として、キャプテンとして、後半の反攻をお膳立てした。

 金明輝監督も「守備でも攻撃でも起点になった」と認めるように、周りを助ける一手目のプレーに絡めるのが彼の良さ。14年には98ジャパンの一員としてAFC U-16選手権に出場した技巧派で、相応のクオリティも持ち合わせている。ただ、決して上手いだけの選手ではない。

 清水戦でも後半12分にロングシュートを決め、試合最終盤のの2ゴールも彼が起点になっている。精神的、体力的に苦しい時間帯で、彼はその真価を示した。

 石川と鳥栖U-15のチームメートだったのが藤川虎太朗(東福岡高)。昨季の高校サッカー選手権制覇に大きく貢献し、今季はあの強豪で10番を背負うMFだ。また同じく東福岡でプレーするプロ注目のDF小田逸希も鳥栖U-15唐津出身。中学生年代から年代別代表に絡んでいた石川も当然、同じようにスカウトはあっただろう。しかも東福岡が高円宮杯プレミアリーグWESTを戦う一方、鳥栖は二段階下の佐賀県リーグ所属。チームの格を比べればやはり東福岡が上だ。

 しかし石川には“鳥栖愛”があった。彼は小学4年から鳥栖の育成組織でプレーし、U-15から入ってきた藤川や小田に比べて“濃度”が濃い。

「コーチたちへの信頼があったし、鳥栖でプレーをしたいという気持ちがあった。高校サッカーよりプロも近い。練習参加にも行ける。そういう環境の方がいいと思った」と彼は鳥栖に残った理由を説明する。

 まだ昇格は決まっていないが明確な昇格志望を持ち、トップの練習にも参加している。「守備は難しいですが、攻撃はやり易いところもある」というマッシモ・フィッカデンティ監督の指導も受け、練習試合ではFWやトップ下、3ボランチの左右で試されているという。

 石川に鳥栖の好きなところを尋ねると「後半の強さや、勝ちに行く、最後まで諦めずにやるところ」という答えが返ってきた。この清水戦でU-18と石川が見せた3点差を追いつく奮闘も、トップのそんな美点を受け継いだものだった。

(取材・文 大島和人)
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