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[総体]まさに横綱相撲、昨夏準決勝の再戦は市立船橋が関東一「寄り切る」

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[7.28 全国高校総体2回戦 市立船橋高 1-0 関東一高 呉市総合スポーツセンター多目的G]

 平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」のサッカー競技は28日、広島県内の各地で2回戦を行った。呉市総合スポーツセンター多目的グラウンドの第1試合では前年度準優勝の市立船橋高(千葉2)と同4強の関東一高(東京1)が激突。昨夏の準決勝の再戦、そして2回戦屈指の好カードは地力に優る市船が、名横綱を思わせる「寄り切り」で1-0と勝ち切った。

 炭火でじりじりと相手チームを焦がしていくような攻めだった。共にポゼッション志向のチーム同士だが、立ち上がりからボールを完全に支配していたのは市立船橋。DF杉岡大暉原輝綺、ボランチのMF金子大毅高宇洋を軸にボールを動かして相手を揺さぶり続ける。一方、この押し込まれる状況を「ある程度まで想定はしていた」(小野貴裕監督)関東一も、DF鈴木友也を中心に粘り強くポジションを修正しながら対応。「最初の飲水タイムまでは選手もしっかり意識しながらやれていた」(小野監督)。

 ただ、「ここまで攻守がハッキリした状態になると……」と小野監督が唇を噛んだように、炎天下でストレスの掛かる試合状況が継続してしまうことで試合は難しくなっていった。押し込みながら点を取れないポゼッション型のチームが自滅する展開はサッカーでありがちだが、この日の市船にはその兆候も見られない。焦ってカウンターのリスクがあるパスを多用することもなく、「あそこで焦れて(危険なパスを)入れてこないのはさすが」と小野監督も脱帽するほかなかった。杉岡は「引いた相手をどう崩すかはずっと課題にしていたけれど、パスのテンポを意識しながらチーム全員で意思統一してやれたと思う」と振り返る。

「(0-0だったが)前半を終わったときに嫌な感じはしなかった」という朝岡隆蔵監督の指示は「継続」。地道にボールを動かしてスキを狙い続けた形が実ったのは、後半9分のことだった。高い位置でボールを受けたDF真瀬拓海から高、そしてMF西羽拓へとつないで、西羽が一気に加速して突破。ここからマイナスのパスをフリーになって受けたMF郡司篤也が右足で冷静にフィニッシュ。「単純に技術レベルが高い。(シュートを)しっかり蹴れる」と指揮官も感嘆する1年生の一撃で、市立船橋に待望の先制点が生まれた。

 そして、この日の市立船橋には1点のリードで十分だった。「サッカーは1点あればいい。2点も3点も必要ない」と朝岡監督が豪語したように、無駄にリスクを犯すことなく試合をクローズさせに行く。関東一も後半20分から切り札のFW堤優太をピッチに送り出して反撃を開始し、システムも4-3-3のより攻撃的な形に変えたが、市立船橋はこれにも冷静に対応。まさしく横綱相撲で関東一を土俵の外に寄り切り、1-0で勝ち切ってみせた。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)

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