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[クラブユース選手権(U-18)]「ハヤトのためにも勝たなければいけない」神戸U-18CB堂鼻起暉が執念の決勝弾

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[7.29 日本クラブユース選手権U-18決勝T1回戦 横浜FMユース 1-3(延長)神戸U-18 前橋工業高G]

 延長後半も間もなく終わろうという111分に生まれた、執念の勝ち越し弾だった。ヴィッセル神戸U-18の左CKから、堂鼻起暉が決勝ゴールを押し込んだ。

 公式記録には「こぼれ球」としか書かれていないが、本人の証言によるとこういう経過だ。

「CKを(永澤)竜亮が擦らしてくれて、(小林)友希が(シュートを)打たんですけど、CKに止められて……。そこから誰かのクリアを僕が押し込んだ」(堂鼻)

 横浜FMユースのGK千田奎斗がゴールラインをほとんど割ったようなボールにぎりぎりで食らいき、DFが弾いたこぼれ球――。それが堂鼻の前にこぼれてきた。「もう身体で決めてやろうという気持ちで突っ込みました」という言葉の通り、腿と腰で押し込む、泥臭いゴールだった。

 横浜FMはボールを動かして相手を揺さぶり、巧みにスペースを突いていた。リザーブも含めて高度な切れ、技巧を持つ選手たちを相手に、神戸の両CBがよく相手の圧力を食い止めていた。堂鼻が身体を張り、ぎりぎりでしのぐ場面も再三再四だった。

 ただ堂鼻がワンプレーの怖さを思い知らされたのは後半11分。後方から飛び出してきた横浜FMのSBに対するカバーが遅れ、彼はPKを献上してしまっている。彼にとってはそんな痛いミスを、自力で癒す一撃でもあった。

 神戸のベンチには背番号5のユニフォームが掛けられていた。これはグループステージ第1戦(大分戦)で鼻骨を折り、大会からすでに去ったDF上田駿斗の番号だ。上田は堂鼻にとって、最終ラインの中央でコンビを組んでいた相棒でもある。「(上田)ハヤトのためにも勝たなければいけない」(堂鼻)というのも、苦しい時間にチームが結束できた一つの理由だ。

 11年の第35回大会で岩波拓也らの活躍により準優勝を果たしている神戸だが、優勝は未だに経験していない。神戸で吉報を待っている仲間のためにも、初優勝という目標を実現するためにも、大きな価値を持つ延長後半ロスタイムのゴールだった。


(取材・文 大島和人)
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