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[総体]プロ入り狙う市船の10番MF高、全国制覇して再確認した「点を取るボランチになる」必要性

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[8.2 全国高校総体決勝 市立船橋高 1-0 流通経済大柏高 Eスタ]

 名門の10番を背負うものとして、またチームリーダーとして、市立船橋高MF高宇洋(3年)は目標の全国制覇を成し遂げた。昨年まで務めていたオフェンシブのポジションからボランチへと転向して迎えた今年の全国高校総体は得点数こぞ伸ばすことはできなかったが、高いレベルでのプレーを継続。決勝でも3ボランチの一角としてまずはチームのバランスを整えること、守備意識を持ってプレーしながら、「ここぞ」の場面では相手のプレッシャーを独力で剥がしてドリブルで大きく前進するなどチャンスメークして見せた。

 ポジション転向後はゴールを決めたい、試合を決めたいという気持ちとチームのためにやらなければならない部分のバランスに悩んだ。自然と前に出る回数が増えてしまい、それがチームのバランスを崩すことに繋がってしまっていた。だが、「ボランチでやるべきことっていうのがある程度整理されて、それがチームに還元したときにプラスになると思った。(今大会は)攻撃でも守備でもある程度バランスとってできたことが良かった」。ボランチとしてボールの取りどころになった。泥臭くスライディングタックルを決めた。また相手と体をぶつけながら歯を食いしばって競り合いを制してボールキープ。そして攻撃の組み立てではゴールを決める前の役割をやり遂げた。10番が高いレベルで還元したボランチの役割。それが市立船橋のチーム力を高め、決勝でも勝利に結びついた。

 本人は自身のパフォーマンスについて満足をしている訳ではない。他の部分ができていただけに「新たに点を取るというところの課題が浮き彫りになった」。勝負どころを見逃さず、周囲と関わりながらゴールを目指したが、そのシュートはわずかに枠を外れるなど、得点という形にはならなかった。

「(朝岡)監督からもバランス意識しろと言われていた。ある程度意識して『ここぞ』というところで出て行くことを意識していたんですけど。ボランチの難しさでもあるんですけど、バランスを気にしながら、1試合に1、2度ある『ここぞ』と言う時に得点を取り切るところだったり、アシストしたりするところにもっとこだわっていきたい」

 まず1冠達成。今大会での活躍もあってか今年、プロ入りを決めるという決意を持っている高の元には、J1クラブからの練習参加の要請が届いた。「もっと評価高められるように点にこだわっていきたい。ビルドアップとかもう1段階、2段階上げていかないといけないけれど、自分に欠けているのは得点。ボランチから取れたらもっと怖い選手になれる。冬の選手権までにはもっと怖い選手になりたい」。高校生レベルから突き抜けるため、プロになるために感じたその必要性。チームの意識、雰囲気を察知し、主将のCB杉岡大暉主将と何度も話しあうなど誰よりもチームの「進化」にこだわってきたMFは自分のレベルをより引き上げて、もうひとつの目標も実現する。

(取材・文 吉田太郎)
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