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[MOM1839]市立船橋DF原輝綺(3年)_またも市船救った注目DF、「偶然ではない」スーパークリア

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.2 全国高校総体決勝 市立船橋高 1-0 流通経済大柏高 Eスタ]

 名門・市立船橋高を救ったのはまたも、この男だった。1-0とリードして迎えた後半アディショナルタイム、流通経済大柏高はPAへ放り込まれたFKのこぼれ球を押し込もうとする。だが、GKの横を抜けたボールはCB原輝綺(3年)が右足に当ててゴールの外へかき出すスーパークリア。スコアは最後まで変わらず、市立船橋が9度目となる全国制覇を成し遂げた。

 FKをGK井岡海都が弾いた後の混戦。次の瞬間、GKの後方に原とMF阿久津諒の2人がカバーに入っていた。「(準決勝までの)インターハイ5試合、ここまで何度もああいう場面があったので自分としては準備していました。日頃から井岡には『オマエが出たらオレがゴール入るから、思い切って出ろ』と言っているんで。阿久津があそこにいたのはビックリですけど(笑)。(スーパークリアを)増やしたくはないですけど。ああいう場面になったらしっかり当てられるようにしている。みんなのお陰なんで、何ともないです」

 チームを優勝へ導く「ビッグプレー」。実は今大会で市船の背番号7がスーパークリアして相手を落胆させたのは初めてではない。瀬戸内高との準々決勝では1-0の前半25分にサイドを崩されて放たれたシュートがGKの横を抜けたが原が体に当ててクリア。準決勝でも危険を察知したカバーリングでピンチの芽を積んでいたが、決勝では70分間運動能力の高さを示すヘッドや対人プレーの強さなど守備力の高さを発揮していたが、最後の最後でまたも決定的なシュートを止めて見せた。

 朝岡隆蔵監督はそのビッグプレーが彼の読み、個人戦術の高さによってもたらされていることを強調する。「偶然ではない。他の試合を含めて彼はちゃんとやっている。細かいところまで。普通だったら切ってしまうから」。酷暑の70分間ゲームで最後まで集中力を切らさず、役割を徹底した彼だからこそできたスーパークリア。J複数クラブがオファーを出しているという注目DFが市船優勝の立て役者だった。

 6試合を戦った全国高校総体を振り返り、原は「負荷かかる試合を多く出来たので、いい経験ができた。(今後も)先見ず一戦一戦やっていきたい」と口にした。本人は評価に応えるために必要なものは勝利だと考えていたという。「勝たないと評価されないと思いますし、その中でチームのために身を粉にやっていかないといけないと思っていた。そういうところをやっていかないと評価されないと思うので、できて良かった」。昨年、全国決勝でPKを外して悲劇のヒーローとなった原が、今年は笑顔で夏の全国を終えた。

(写真協力=高校サッカー年鑑)

(取材・文 吉田太郎)
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