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準決勝では自身の交代後に5発逆転…悔しさも胸に、FC東京U-18MF伊藤純也はフルスロットル

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[8.4 クラブユース選手権(U-18)決勝 FC東京U-18 2-0 清水ユース 味フィ西]

 気迫が違った。FC東京U-18MF伊藤純也(3年)は決勝・清水ユース戦の立ち上がりから、フルスロットルでのプレーをみせていた。その胸には準決勝・川崎F U-18戦で途中交代した悔しさがあったという。

 2列目左サイドでプレーする伊藤は、準決勝・川崎F U-18でも先発。左サイドから仕掛けては、クロスを入れてチャンスメイクもしていた。しかし0-1のハーフタイムに交代。代わってFW久保建英(中3)が入った。すると伊藤の退いた後半にチームは5得点。久保の直接FKを皮切りに5-1の大勝で決勝進出を決めていた。

 当時の心境を伊藤は「個人として悔しい思いもありましたけど、チームが勝てたとことが自分的には嬉しかった」と前置きしつつも、「自分が代わった後にあれだけ点が入ったのは、やっぱり悔しかった」と言う。

 今季ハーフタイムに交代したのは準決勝が初めてのこと。「初めてのHTでの交代だったので“なんでだろう?”という部分はありました」と正直な思いを明かした。

 それでも「だからこそ、決勝ではやってやろうという気持ちで。建英(久保)が入って、実際に試合も変わりましたし、個人的なところで自分はすごい差を見せられなかったので。決勝ではもっと運動量を増やしてボールに関わる回数を増やしたいと思っていました」。

 そして迎えた決勝戦。先発した伊藤は、守備でも奮闘。味方SBが追い越していったシーンでは冷静に戦況を見つめ、ポジションを取った。相手が切れ込んできた場面では粘り強くパスコースへ足を伸ばした。文字通りに献身的に駆け回ると、攻めては先制アシストの結果も残す。

 前半32分、大きなサイドチェンジを受けた伊藤は左サイドからドリブルで仕掛け、マイナスに折り返す。これを受けたMF鈴木喜丈がダイレクトで左足で叩き込んだ。先制したチームは前半45分には追加点。走り抜いた伊藤は、後半17分に久保と交代した。2-0のままチームは勝利。日本一に輝いた。

「決勝ということもあって、気持ちも昂ぶっていましたし、自分的にはこのチームで優勝したいという気持ちがすごくあったので。それで結果が出てすごく嬉しい気持ちです」

 悲願の日本一を達成したMFは「90分はできなかったですけど、途中まで自分としては走り切りましたし、ボールに関わる回数も準決勝よりは多かったと思います。そこは良かったと思う」と胸を張りつつも、「決勝でやってやろうという気持ちがすごくあったし、もうちょっとやりたかったですけど……」と貪欲に口にした。向上心旺盛なメンタルが伊藤の“芯”となっている。

 まず一つ目のタイトルを手に入れ、チームが目指すは3冠獲得。これからは追われる立場となる。FC東京U-18の左サイドを担ったMFは「日本一を獲ったということで、これからはプレミアも厳しい戦いになると思いますし、まだJユースもあるので。まずは1試合1試合、目の前の試合に向かって全力でやっていくだけ」と冷静に先を見据えた。

(取材・文 片岡涼)
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