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日本一が目標のびわこ大、「3連戦覚悟」の松山大を下して2回戦へ[総理大臣杯]

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[8.6 総理大臣杯1回戦 松山大 1-3 びわこ成蹊スポーツ大 J-GREEN堺]

 夏の大学日本一を決する第40回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメントが6日に開幕し、1回戦を行った。J-GREEN堺では16年ぶり7回目の出場となった松山大(四国2)と4年ぶり2回目の出場となったびわこ成蹊スポーツ大(関西4)が対戦。3-1で勝利したびわこ大が2回戦へと駒を進めた。

 14時を過ぎた頃から大阪府南部に雷警報が発令。会場付近に落雷の可能性があったため、選手・観客全員が建物内への非難を余儀なくされた。キックオフ予定だった15時半を過ぎても雷は鳴りやまず、天気が回復するのを待った結果、17時からの試合開始が決定したのは16時半を過ぎてから。両チームともに慌ただしくピッチ内アップを済ませて、試合が始まったが、「条件はお互い一緒。受け取り方次第で、何とかなるだろうと選手も僕も楽観視していたので、いつも通りの気持ちで試合に挑めた」(びわこ大・望月聡監督)。

 とはいえ、試合への影響は皆無ではなく、「ぎこちない所があった」(望月監督)びわこ大に付け込む形で立ち上がりは松山大が仕掛けた。まずは、前半2分にFW寺田博樹(3年=松山北高)がドリブルからフィニッシュまで持ち込むと、9分にはMF平本峻二(3年=松山工高)が左足でミドルシュートを展開するなど、果敢にびわこ大に襲い掛かる。

 対するびわこは自陣でボールを繋ぎ、試合の主導権を握ったが、「うちはバルセロナのように繋ぎいで、崩しきれるチームではない」と望月監督が表現するように本来は粘り強い守備からのカウンターが得意なチーム。慣れない試合展開に苦戦しながらも、10分には右サイドでボールを受けたMF田路大樹(4年=立正大淞南高)がカットインからシュート。

 33分には田路のパスをゴール前で受けたFW熊田克斗(3年=立正大淞南高)が素早いターンからシュートを狙ったが得点には至らない。それでも、43分には右サイド低い位置からDF荒木大輝(3年=旭川実高)がクロスを展開。熊田が胸で落としたボールに田路が反応した所を倒され、PKを獲得すると田路が冷静に決めて、びわこが先制した。

 「勿体ない失点」(大西貴監督)を許して前半を終えた松山大だったが、後半4分にびわこ大のクリアボールがゴール前に入ると、落下点に入ったMF日野貴登(1年=松山工高)がダイレクトで叩き込み同点に。直後にも、8分にも相手DFのバックパスの乱れからゴールを狙ったが、冷静な対応を見せたGK岡田慎司(3年=松山工高)に阻まれ追加点が奪えない。

 チャンスを活かせずにいると試合の流れは再び、びわこ大に傾き、19分には左CKをFW清川流石(2年=愛媛ユース)が頭で合わせて、再リードを手にすると、25分には左を抜け出したMF曽根田穣(4年=愛媛ユース)がゴール前に低いクロスを展開。反対サイドから飛び込んだMF上村大悟(1年=立正大淞南高)がダイビングヘッドで合わせ、2点差でタイムアップを迎えた。

 勝利したびわこ大は、決して楽な試合展開ではなかったが、「初戦を物にするのは難しい。細かいことを言えばキリがないけど、勝てたのでOKだと思う。勝ったことで勢いに乗れるし、全国大会での勝利は普段のリーグよりも選手たちの自信になる。また、1-0でも勝ちだけど3人が点を獲ったことも大きなこと。点を獲ると選手が乗ってくれるし、他の選手が『俺も』と続いてくれる。次に向けて、良い勝ち方だった」と望月監督は高評価。

 岡田は「初戦は難しい試合になると思っていたので、勝てて良かった。日本一を目指してやっていこうというのが皆の目標。一つひとつしっかり勝って行って、頂点に立ちたい」と意気込んだ。

 一方の松山大も、「びわこ成蹊さんのような名前のあるチームに対して、よく頑張ったと思う。満足できないけど、今のチーム力では納得のいく試合だった。愛媛の大学を代表して、大会に出たということを示せたと思う」(大西監督)と次第点の評価。

 主将のMF白谷陽旭(3年=松山工高)も「難しい状況ではあったけど、やっていて楽しかった。僕たちは貧乏クラブなので、遠征が少なく、練習試合は地元の高校生がほとんど。全国大会でしか、他県のチームと真剣勝負ができないので、貴重な経験。点差以上の部分を相手に感じたけど、自分たちのストロングポイントも少しは見せることができたので、凄くポジティブに捉えている」と口にした。

 翌7日には天皇杯出場がかかった愛媛県サッカー選手権大会の決勝が予定されている。この日、勝利すれば8日の総理大臣杯2回戦と続き、長距離移動を伴った3連戦となる可能性もあったが、「選手たちの意見を尊重して、3試合ともベストメンバーで戦うつもりだった」(大西監督)。

 決勝戦で対峙するのは岡田武史元日本代表監督がオーナーを務めるFC今治。試合後、足早にバスで愛媛へと戻ったもののコンディション調整は難しく、厳しい戦いとなるのは間違いない。それでも、「僕たちは愛媛のサッカーシーンをリードしなければいけない存在だと思っているし、大学生として子どもたちの見本であり目標となるチームを作らなきゃいけない。胸を張って、愛媛に帰って、また1から頑張ってくれるはず」と指揮官が口にしたように、松山大の選手は全力で白星を狙いにいく。

(取材・文 森田将義)
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