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“嫌な顔”せずにチームのために…FW武蔵、バックアップメンバーに「本当に感謝している」

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[8.10 リオデジャネイロ五輪 B組第3節 日本 1-0 スウェーデン サルバドル]

 チーム発足当初からメンバーに名を連ねながらも、リオデジャネイロ五輪日本代表メンバー18人には選出されなかった。しかし、FW久保裕也(ヤングボーイズ)の招集断念により、FW鈴木武蔵(新潟)は登録メンバー入りを果たし、五輪のピッチに立って日本のために戦った。

 初戦のナイジェリア戦で後半25分からピッチに送り込まれると、後半アディショナルタイムに得点を記録。第2戦コロンビア戦では出場機会こそ訪れなかったものの、第3戦スウェーデン戦ではスコアレスで迎えた後半16分にFW浅野拓磨(アーセナル)に代わって、再びピッチへと送り込まれた。

 投入直後の後半18分にはMF遠藤航(浦和)が放ったヘディングシュートのこぼれ球に反応して、ゴールを強襲したがGKアンドレアス・リンデに阻まれてゴールネットを揺らすには至らず。しかし、直後の同19分にMF矢島慎也(岡山)が決勝点を奪って、日本は1-0の完封勝利を収めた。

 最終節でようやく白星を獲得した。しかし、他会場の結果により、決勝トーナメント進出を果たすことはできず。「厳しいですが、それが結果なので受け止めるしかない。期待してくれた皆さん、応援してくれた皆さんに本当に申し訳ないし、自分たちがもっともっとできるところを見せたかった」とグループリーグ敗退に悔しさを滲ませた。

 当初はバックアップメンバーの一人としてチームに合流。だからこそ、同じ立場の選手の思いは誰よりも分かる。

「(バックアップメンバーの)ガク(MF野津田岳人)やシン(DF中谷進之介)、阿道(FWオナイウ阿道)や大地(GK杉本大地)は嫌な顔せずにチームのためにできることをやっていた。悔しい気持ちは分かるし、俺が登録メンバーに選ばれたときは自分のことのように喜んでくれた。その後押しもあって第1戦でゴールもできたと思うので、本当に感謝している」

 約2年半活動してきた手倉森ジャパンの物語は、この日終わりを迎えた。「一体感があったし、試合終了のホイッスルが鳴るまで何が起こるか分からないチームだった。何か本当に起こせそうなチーム。本当に良いチームだったと思います」と感慨深げに話した。

(取材・文 折戸岳彦)

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