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鎖骨骨折から戻ってきた明大FW岩田拓也がみせた4年生の意地

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[8.14 総理大臣杯決勝 明治大1-0順天堂大 ヤンマースタジアム]

 4年生の責任。熱い思いを胸に痛みをこらえると、最後までピッチへ立った。試合後、明治大のFW岩田拓也(4年=FC東京U-18)は右肩付近をアイシングしての痛々しい姿をみせた。

 この日はベンチスタートだったが、前半30分にFW木戸皓貴(3年=東福岡高)が左膝を負傷したことで代わって投入された。1-0の状況下での出場だったため、守備に追われる時間が多かったが役割を全うした。

「途中からアクシデントで入りましたけど、守備に終われる形で自分の持ち味を出せませんでした。でも、この大会は自分は連れてきてもらった立場なので。自分の点というよりも、チームのために何ができるかを考えてプレーしました。守備には貢献できたかなと思います」

 今季の岩田は関東大学リーグで開幕2戦連発を記録するなど、順調なスタートを切った。大学4年生、集大成の年。かける思いは強かった。しかし、5月21日に行われた第8節・順天堂大戦で鎖骨骨折。離脱することになってしまった。それでも仲間が全国切符を勝ち取ると、総理大臣杯開幕の約2週間前に復帰。ピッチへ戻ってきた。今大会はゴールこそないものの、必死にボールを追う献身的なプレーで明治大を支えている。

 そしてこの日はアクシデントでの出番となったが、すんなりとゲームへ入ると豊富な運動量で随所へ顔を出した。しかし後半30分過ぎにアクシデント。接触プレーで5月の鎖骨骨折と同じ箇所を痛めてしまったのだ。「本当に前の順天堂大戦と同じようにぶつかってしまって……」。嫌な予感が頭をよぎり、一旦はピッチの外に出た。

 それでも4年生FWはピッチへ戻る。「痛みはありました」というが「本当にここでしっかりやりきらないと。こんなとこで4年生の自分が抜けるわけにはいかない」。自らを奮い立たせて、最後まで戦った。終わってみればチーム最多3本のシュートを放った岩田。チームは1点を守り抜き、1-0で初優勝を遂げた。

 試合後、アイシングした右肩を押さえながら出てきたFWは「痛みはありましたけど、でも優勝できたのでもう何でもいいです」と白い歯をこぼした。痛みをこらえて戦った4年生ストライカー。思いは報われた。

(取材・文 片岡涼)
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