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[ADIDAS CUP 2016 in OSAKA]PK戦で総体出場逃した湘南工科大附、「確固たるもの」得て神奈川突破へ

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[8.16 ADIDAS CUP 2016 in OSAKA 立命館宇治高 0-4 湘南工科大附高 J-GREEN堺]

 北海道、関東、東海、関西の強豪12校が秋の戦いへ向けて力を磨く「ADIDAS CUP 2016 in OSAKA」は16日午前、グループリーグ最終節を行った。ともに1勝1敗のBグループ2位争い、立命館宇治高(京都)と湘南工科大附高(神奈川)との一戦は湘南工科大附が4-0で快勝。勝った湘南工科大附はグループ2位で決勝トーナメントへの進出を決め、敗れた立命館宇治はグループ3位の成績上位2チームに入ることができず、下位リーグへ回ることとなった。 

 今年の全国高校総体神奈川県予選で4強入りした湘南工科大附が前半で勝敗の行方を大きく傾けた。10分に縦パスからFW吉原崇匡のゴールで先制点を奪った湘南工科大附は、直後にも左MF佐藤亘のパスから絶妙なコントロールで抜け出したエースFW脇坂崚平がGKとの1対1からゴール。さらに16分には佐藤の左クロスを脇坂がゴールへ沈めて3-0と突き放す。

 立命館宇治に満足な攻撃をさせないまま前半を終えた湘南工科大附だが、後半は立命館宇治が反撃。司令塔のMF山田夏暉主将中心にボールを動かして攻める立命館宇治は左SB長谷川泰誠とMF矢本勝威がワンツーを狙ったり、右MF奥野喜彬がスピードを活かして切れ込むなど相手ゴールへ迫る。だが、14分に抜け出した奥野の決定的なシュートが湘南工科大附GK尻無浜竜太のビッグセーブに阻止され、また「キャプテンとしてチームが上手くいかない時にどうしようとか、自分がどこが上手く行っていないとか(監督の)室井さんに言われる前に見つけられれば悪くなる時間が短くなると思う。自分はCBで見渡せるのでポジショニングだったり、周りを動かせればいい」というCB米澤哲哉主将と守備範囲広いCB小笠原由多を中心に守る湘南工科大附から1点を奪うことができない。

 湘南工科大附は前向きにボールを持った中盤がスペースへ配球して攻撃するが、立命館宇治はCB川村涼也を中心としたDF陣がシュートをブロック。粘り強く守る相手から追加点を奪えないでいた湘南工科大附だが試合終了間際、敵陣でボールを奪うと、2年生MF岩崎駿が相手の背後へ落としたボールを脇坂がゴール左隅へ流し込んでハットトリックを達成した。

 4-0で快勝した湘南工科大附の室井雅志監督は「難しい試合を勝ち切るための確固たるものがないといけない」という。湘南工科大附は勝てば全国総体出場の決まる神奈川県予選準決勝で先制しながらも慶應義塾高にPK戦で敗れ、相模工大附時代以来となる予選突破を果たすことができなかった。紙一重の差で逃した全国切符。選手権予選でそれを得るために「確固たる」ものを身につける。その取り組みを続けて来た。

 鍵になるのは「共通理解を深めて、お互いの良さを引き出すこと」(室井監督)。今年、抜きん出た存在のいない湘南工科大附は総体予選後にチームを一度壊し、1年生を起用したり、前から追うことにもチャレンジするなど試行錯誤してきた。徹底して相手の背後を狙うチームは現在、その回数を増やすためにより共通理解深めて、各選手の特長をより引き出すことに重きを置いている。負傷が癒え、今大会から復帰したCB米澤主将は「神奈川で勝っていくためには連動して裏に抜けて走ったり、スペースをつくって点を取りにいかないといけない。よくはなっているけれど、まだ確固たるものがない」。より共通理解と連係を高めて、全国で勝つための「確固たる」武器にする。加えて総体の悔しさはチームのエネルギー。米澤が「悔しさは『次、行くぞ』という気持ちに繋がっていると思います。選手権こそは全国行って、湘南工科の歴史に名を残したいです」。あと一歩で全国を逃した悔しさもぶつけて、選手権予選で激戦区・神奈川を突破する。

[写真]前半10分、湘南工科大附が先制する

(取材・文 吉田太郎)
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