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[MOM1855]仙台育英MF村山信平(3年)_総体はスタンド観戦…ベンチもどよめく鮮烈ミドル弾

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.19 アンダーアーマーチャレンジカップ決勝 聖光学院0-2仙台育英 いわきグリーンフィールド]

 ベンチで見守るチームメイトからも歓声とどよめきがあがった。1-0で迎えた前半28分、仙台育英高(宮城)はFW稲本光輝(3年)が左サイドを突破し、ゴール前にクロス。GKが飛び出して弾いたが、大きくクリアし切れず、中盤にボールがこぼれる。すると、これに反応したのがFW村山信平(3年)だ。

「あの場面は打つことしか考えてなかった」。迷いなく右足を振り抜くと、ボールは前に出ていたGKの頭上を越え、ゴールマウスに吸い込まれた。ゴールまで約30mの距離から飛び出した鮮やかなミドルシュート。腕を突き上げて喜ぶ村山信は「(足に)当たった瞬間、入ったと思った」と、満面の笑みで会心の感触を振り返った。

 夏の悔しさは人一倍だ。全国高校総体に出場した仙台育英は1回戦で日本航空(山梨)に0-2で敗れ、初戦敗退。この日の決勝にも総体メンバーの多くが出場していたが、村山信は全国総体の登録メンバーから漏れ、日本航空戦はスタンドから応援していた。

「選手権ではメンバーに入って試合に出たい」。総体後、その一心でトレーニングに励んできた。チームはいったん主力も控えもリセットし、ゼロから競争がリスタート。この日もハーフタイムで大幅に選手を交代するなど試合の中で総入れ替えし、遠征メンバー24人全員が起用された。

 大半の選手が前半か後半の35分間、プレー時間が与えられたのに対し、1トップとトップ下の2つのポジションでは3人が約25分ずつプレー。トップ下で起用された村山信も前半25分から後半16分までの出場だった。その中での1ゴール。「短い時間で結果を出せてよかった」という言葉にも実感がこもる。

「持ち味はどこにでも顔を出すところ」と、小柄ながら豊富な運動量で前線をかき回し、精力的にピッチを駆けた。そして何よりも、決勝戦という大舞台で見せた勝負強さ。「競争は激しくなっていると思う」。総体メンバーを脅かすだけのアピールになったのは間違いない。

(取材・文 西山紘平)

●アンダーアーマーチャレンジカップ2016 SUMMER

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