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[MOM1860]野洲MF石井立人(1年)_無名の才能開花するか?「一番、野洲らしい」名手候補

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.26 関西U-16~Groeien(育てる)~2016第9節 野洲高 10-3 奈良育英高 伊勢ヴィレッジA]

 寄せてきた相手DFをわずか2mほどのパスで無力にする。ボールの置き所の正確さによってスピード差を埋めてしまう。そして見事なアシスト。決して派手なプレーを連発する訳ではない。だが、その駆け引きの上手さと時折見せる“オシャレ”なプレーは秀逸だった。この日は疲労を考慮して前半45分間のみの出場だったが、長谷川敬亮コーチも「サッカーがよく分かっている子。学年が上がった時に今のままでは絶対にダメ。守備力もないし、得点力もない。でも、トップで自分のやりたいことが貫けるようになったらボクは面白いと思います。一番、“野洲らしい”選手」と期待を寄せるMF石井立人(1年)が特に印象的なプレーヤーだった。

 本人は「敵の逆を取ること、味方の動きを見逃さないところ。あと、(自分は)スピードもフィジカルもないから、逆を取らないとすぐに身体を寄せられてしまう。できるだけ身体を寄せられないように」という点を意識してプレー。この日は「ちょっとダメだった。周りが全然見えていなかったり、ボールの触り方とか」と不満げだったが、それでもボールを動かす部分や、ボールをなくさない部分、そして局面をどう上回っていくかなど些細なところでの判断と動きの良さが目を惹いていた。

 野洲出身の名選手たちの多くと同じようにセゾンFC出身。だがセゾン時代は控えで「試合には全然出れていなかったです」という。野洲進学直後も技術はありながらも自分に自信がなく、上手く特長をを表現できなかったようだが、それでも長谷川コーチから前向きな言葉を掛けられながら徐々に変化してきた。「やっぱり考え方が変わったと思います。中学校の頃と。縦を意識するようになりました」と語ったように、ボール回しすればいいと考えていた時期から変化して、サッカーで必要なゴールに関わるプレーを意識をするようになってプレーも、評価も向上。この日の前半は試合を支配するような動きを見せていた。

 野洲が05年度に全国制覇した時の10番、MF平原研や1年時から野洲の10番を背負ったMF望月嶺臣(現山口)といった「パスで敵の逆とったり、敵の気づいていないところにパスを通したり」していた名手が憧れ。長谷川コーチは石井が見せる気の利く動きや自分の欠点を理解して埋めるプレーなど、望月やMF乾貴士といった名手に近い感覚であることを認める。「乾も華奢やったし、ビビりやし、フェイントするよりも当たらないように速く抜けていくとか。たくさん周りを見てみたり。望月もそう。欠点を上回れるだけのものをたくさん考えている。彼らと感覚が近い。石井もビビリなんがいい(笑)」。将来の野洲の10番候補。まだまだゴールへのこだわりや守備面の向上など、トップチームでハイレベルな相手と対戦する中でやらなければならないことがある。1年生チームでできたことを上のステージで通用するものにできるか。「トップで出て全国優勝目指したいです」という石井は意識高い日常を送って憧れの名手たちに一歩でも近づく。

(取材・文 吉田太郎)
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