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[関西U-16~Groeien~]興國が0-3から大逆転で全勝V!自分たちが中心となって「関西から世界へ」

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[8.26 関西U-16~Groeien(育てる)~2016第9節 興國高 4-3 東山高 伊勢ヴィレッジB]

 関西から世界へ――。 関西地域の強豪10校が長期にわたるリーグ戦を通して、U-16選手の育成および指導者のレベルアップを図る「関西U-16~Groeien(育てる)~2016」は26日に最終節を行い、興國高(大阪)が東山高(京都)に0-3から逆転勝ち。前節ですでに2連覇を決めていた興國は全勝優勝を達成した。興國は2位の履正社高(大阪)とともに来年2月か3月に開催予定のU-16全国大会へ出場する予定となっている。

 四日市中央工高や履正社高、神戸弘陵高など全国トップクラスの強豪たちとのリーグ戦で大阪の新鋭、興國の1年生たちが快挙を成し遂げた。昨年は8勝1敗での優勝だっただけにMF石丸海は「先輩を越えられたので良かった」と語り、MF加藤優太も「あまり実感が湧かないけれど嬉しいです」。それも最終戦は3点ビハインドをひっくり返すという劇的な展開で偉業を達成した。

 前半は完全に東山のペースだった。西野将貴コーチが「試合の入り方も、雰囲気も良かった。前半はいい形で守備から攻撃ができていた。相手よりも走って東山らしいサッカーがやれていた」と振り返ったように東山は興國の全勝優勝阻止と、2位浮上のチャンスを掴もうと意欲的なサッカーを見せる。前からのアグレッシブな守備で相手のパスコースを限定。ミスを誘ってボールを奪うと、ショートカウンターや後方で作った攻撃からFW大八木陽一やMF久乗聖亜、MF飯田敏基がスピードに乗った仕掛けを見せる。

 そして19分に飯田が突破からゴールを破ると、30分にも右SB清原航平の突破からセンタリングを飯田が決める。修正できなかった興國に対して東山はほぼ完璧な45分間。そして西野コーチから「気持ちの部分で引くな」と送り出された東山は後半6分にもMF長坂大陸が右足シュートをねじ込んで3-0とした。守備陣もGK荒木光汰中心に安定。危なげなかった東山だが、加藤が「後半になって守備のアプローチラインを上げてタイトについて行って、前でサッカーできるようになった」と説明した興國に怒涛の追い上げを許してしまう。

 後半17分までに5選手を入れ替えて反撃する興國は20分、MF内山颯基のミドルシュートで1点を返すと、その1分後にFW西山倖太朗の右クロスをFW米田壮吹が合わせて1点差。この連続ゴールで勢いづいた興國は東山のカウンター攻撃を交代出場のGK岸夏駆中心に封じると、米田の右クロスなどからさらにゴールを目指す。そして35分、西山のラストパスに米田が飛び込み、最後はこぼれ球をFW古川大樹が押し込んで同点に追いついた。

 こうなると流れは完全に興國。40分、右サイドを駆け上がったSB笹部祐介のグラウンダーのパスを石丸が右足ダイレクトで鮮やかにファーサイドのゴールネットへ沈めて4-3。サブ組の選手たちの下へ駆け込んだ背番号4中心に全員で喜び合った興國がそのまま逃げ切って全勝優勝を果たした。

 インテリジェンスの部分の評価高い加藤が「1節目と比べたらボクのプレースタイルも変わって、周りも見ることができるようになって、囮の動きも覚えて味方を使えるようになりました」と語るなど個々が成長を遂げた90分間勝負の9試合。それを全て白星で終えた興國だが、内野智章監督は「運で勝っている部分もある。勘違いしてほしくない。昨年も優勝したけれど、3人くらいしかトップで出られていない」と引き締める。「優勝したことは素晴らしい」と口にする一方で「ここから」を強調した。

「優勝メンバーから何人代表に入るか、何人プロになるかが大事。グロイエンは関西から世界へをキャッチフレーズにしている。グロイエンから世界に通用する選手をつくらないといけない」

 このメッセージを受けて石丸は「世界は監督にもいつも動画を見せてくれたりするので意識していますね」と語り、加藤は「興國は世界のトップクラスのビデオとか見せてもらっているし、修学旅行もスペイン遠征とか行くので意識しています。イニエスタを越えたいです」と力を込める。2連覇した興國から1人でも多く上のステージで羽ばたくこと。それが「ここから」の彼らに課せられた使命となる。

(取材・文 吉田太郎)
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