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[プリンスリーグ九州]夏の成長に手応えの無敗首位・長崎総科大附が鹿実に7-1大勝!

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[8.28 高円宮杯プリンスリーグ九州第4節 鹿児島実高 1-7 長崎総合科学大附高 霧島市国分総合運動公園]

 8月28日、4月の熊本地震の影響から延期されていた高円宮杯プリンスリーグ九州第4節が鹿児島県内各地で行われ、無敗で首位を走る長崎総合科学大附高(長崎)は地元の名門・鹿児島実高(鹿児島)と対戦。7-1の大差で勝利を飾って独走状態を維持した。

 後期開幕戦に当たる第10節が前日27日に行われた関係で土・日の連戦となったこの第4節。「昔を思い出します」と鹿児島実・森下和哉監督が懐かしそうな表情を浮かべたように、土日連戦がスタンダードだったかつてのプリンスリーグ九州を彷彿とさせる過酷な連戦。「選手を入れ替えながら、何とかやるしかない」(アビスパ福岡U-18・小倉裕介監督)と各チーム首脳部は知恵を絞って連戦をこなしたが、連戦歓迎というチームもあった。「体力勝負なら、絶対にウチが有利だと思っていたので」と不敵に笑ったのは、長崎総科大附の主将であるMF薬真寺孝弥。鹿児島実との一戦は、その言葉どおりの“走り”を見せ付けるゲームとなった。

 試合は開始1分に動き出す。いきなりのフルスロットルでプレスに行った長崎総科大附の姿勢が実り、「昨日の課題として前からボールを取りに行く姿勢(の欠如)があったので、今日はみんな行ってやろうと思っていた」(DF前野翔伍)というボール奪取を起点に、FW右田翔が早くも先制点をたたき出す。対する鹿児島実も、長崎総科大附のマンツーマン対策として実践した流動的な布陣からボール保持を試み、これは奏功していた時間帯もあった。だが27分、右ウイング右田のクロスからFW宇高魁人のゴールをあっさり許してしまった。

 鹿児島実も33分にFW増田季也のスルーパスからFW濱田宗次郎が決めて1点を返すが、「あまりにも簡単にボールを失いすぎていた。やってはいけないエラーの繰り返しになってしまった」と森下監督が嘆いたように、相手の激しいプレッシャーの前にボールロストが頻発してリズムを作れない。後半に入ると疲労もあったのか攻守の切り替えが遅くなるシーンも目立ち、逆にその切り替えで無類のスピード感を発揮する長崎総科大附が圧倒する流れとなった。

 後半7分に薬真寺のスルーパスから右田が決めると、17分には右田のクロスから交代出場のFW荒木駿太がゴール。さらに26分には、またしても右田のクロスを荒木がスルーし、後方から走り込んできた薬真寺が流し込む形で、5-1。そして終了間際の44分には宇高のクロスを交代出場のFW西原先毅がボレーシュート。これは当たり損ねたが、絶妙の落としとなって荒木がこの日2点目を“ごっつぁん”ゴール。アディショナルタイムにも薬真寺がGKニアを豪快に破るシュートを突き刺した長崎総科大附が7-1の大差で鹿児島実を沈めた。

 9勝1分とした長崎総科大附の小嶺忠敏監督は「高校総体が終わってから、実戦の中でいろいろな選手をいろいろなポジションで試しながら底上げを図ってきた。西原やDF山本大樹はその中で伸びてきてくれた選手」と夏の成長に手ごたえを感じている様子だったが、同時に「まだまだここから」と、チームが完成形にはないとの考えも明らかにした。一方、空回りしてしまったU-17日本代表FW安藤瑞季については「負傷明けだから、ちょっと気負ってしまっていただけ。これから良くなるから大丈夫だよ」と気遣った。

 対する鹿児島実・森下監督は言葉の端々に悔しさをにじませつつも、「このゲームを反省し、考えていくことはきっとウチにとってすごく大きな意味がある」と前を向いた。「小嶺先生から『甘いよ』と教えていただいたような試合。負けていいゲームなんてあるはずもないけれど、負けを生かせるのがリーグ戦。一人ひとりにしっかり働きかけていきたい」と、高校選手権予選も見据えながらチームをもう一度鍛え直すことを明らかにした。

 首位を独走する長崎総科大附の強烈な強さを印象づけるゲームとなったが、当然ながらここにゴールラインはない。両雄ともに“冬”も意識しながら、さらなる成長を誓っていた。

[写真]後半17分、長崎総科大附は期待の2年生FW荒木駿太が右田のパスから決定的な4点目を流し込む

(取材・文 川端暁彦)
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