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「もう少し期待していたが…」ハリル、抜擢の大島に辛辣も「チョイスした私の責任」

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[9.1 W杯アジア最終予選 日本1-2UAE 埼玉]

 言い訳できる要素はいくらでもある。UAEが約2か月かけて準備してきたのに対し、日本は全選手がそろったのは試合2日前。DF長友佑都、DF槙野智章がケガで不在で、試合前日にはMF柏木陽介も左股関節の違和感を訴え、ベンチ外となった。そして主審の不可解なジャッジ……。バヒド・ハリルホジッチ監督は「心の底からガッカリしている」としたうえで、「我々の実力が示された。これを受け入れるしかない」と敗戦の弁を述べた。

「なぜこの選手を選んでしまったのか、自分でも疑問に思っている。しかし、他に良い選手がいなかったのが理由だ。責任はすべて代表監督にある」。悩んだのはボランチの人選だ。MF長谷部誠とコンビを組むはずだった柏木の故障。MF山口蛍という選択肢もあったが、より攻撃的なチョイスとしてこの日がA代表デビューとなるMF大島僚太を抜擢した。「もう少し期待していたが……」。試合後の記者会見。指揮官は表情をゆがめた。

「(柏木)陽介と競争している中で、若い選手(の起用)を決断した。ただ、こういう試合で恥ずかしさを見せるところがあった。それはチョイスした私の責任だ。スピードアップのところ、前へのパスでもう少し期待していた。ただ、彼もできる限りのことはやってくれたと思う」

 1失点目は大島のパスミスからカウンターを受け、DF吉田麻也が与えたFKを直接決められた。2失点目のPKは大島が献上したもの。特にこの場面ではPA内でボールを持ったMFイスマイール・アルハマディに対し、DF酒井宏樹、MF香川真司、そして大島の3人で囲みながらボールを奪えず、後方から大島がファウルを犯してしまった。

「3対1の状況でボールを奪いに行った。3対1であのボールを外に出せないのが我々の実力だ。私はこれまでデュエル、デュエルとずっと言ってきたが、みなさんもその意味がよく分かったと思う。何人かの選手はフィジカル的に限界が来ている。ただ、私がチョイスしただけ。批判は私にしてほしい」

 苦言は大島個人から国内組全体に及んだ。「国内組の大部分が、フィジカル的な準備がまだまだ十分ではない。リズムの変化、スピードアップのところもそう。要するに彼(大島)は日本のフットボールのイメージを体現している」。辛辣な指摘は期待の裏返しなのか。

「彼(大島)に対してはまだまだ楽観的だ。彼も伸びるし、我々も伸びる」。そうフォローした指揮官は「大島は我々と初めて試合をした。彼を非難できない。私がチョイスした。彼を勇気づけることが必要だ」と、アジア最終予選の初戦という大舞台で大島をデビューさせた自らの判断を悔やんだ。

「こういう試合をしたときは監督を批判してほしい。選手はしっかり守りたい。これが結果。私のチョイスが悪かった。彼らはできる限りのことをやってくれた」。そう選手を擁護した指揮官だが、「選手を選ぶのは簡単ではない。分母が広がっていないからだ」という言葉には力がなかった。

(取材・文 西山紘平)

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