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U-15の“クラブユースオールスター戦”、メニコンカップは前半5発のWESTが快勝!清水JYの川本がMVPに!

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[9.11 メニコンカップ2016 日本クラブユース東西対抗戦 EAST 3-5 WEST パロマ瑞穂ラグビー場]

 第31回日本クラブユースサッカー選手権(U-15)大会で活躍した選手が、東西に分かれてしのぎを削る「メニコンカップ2016 日本クラブユースサッカー東西対抗戦(U-15)」が11日に、愛知県のパロマ瑞穂ラグビー場で行われた。

 一昨年の20回大会から連勝を続けるWESTはクラブユース選手権(U-15)を制した清水ジュニアユース所属の4人に加え、同じ静岡県で活動を行うJFAアカデミー福島U15から3名がスタメン入り。特徴をよく知る選手を多かっただけでなく、「コミュニケーションが大事なので、(前日に)集まってすぐ話をした」(DF西尾隆矢、C大阪U-15)ことも奏功し、序盤から岩下潤監督が「(クラブユース選手権で)やり合った選手が多いけど、良い選手が集まったら面白い場面がいっぱいあった」と驚くほど息の合った連携でEASTを攻め込んだ。

 最初のチャンスは前半2分。中盤でのパス回しからゴール前に抜け出したMF食野壮磨(G大阪ジュニアユース)がシュートを放つと、GKが弾いたところをFW山崎稜介(清水ジュニアユース)が押し込み、WESTが先制に成功した。6分にもDF林航輝(清水ジュニアユース)の縦パスをゴール前のFW藤尾翔太(RIP ACE SC)がダイレクトでPA後方に展開。3列目から飛び出したMF川本梨誉(清水ジュニアユース)がミドルシュートを狙ったが枠を捉えることができない。

 一方、8チームの選手がスタメンに並んだEASTは、「WESTは連係がアドバンテージ。EASTはショートコンビネーションや守備でのコミュニケーションで差を埋めていこうとミーティングで話していた」(生方修司監督)。立ち上がりこそWESTの勢いに飲まれてしまったが、8分にはMF細谷真大(柏U-15)がクロスバー直撃のミドルシュートを放つなど徐々に見せ場を作り始める。

 一進一退の色合いが強まる中、16分には再びWESTにチャンスが到来。PA右でボールを持った食野が個人技でマークを外し、PA中央に浮き球のパスを入れると、藤尾が落ち着いて頭で合わせて2点目を奪った。このゴールで勢いに乗ったWESTは19分にFW植中朝日(JFAアカデミー福島U15)、20分に食野が加点し、リードは一気に4点差まで拡大。32分にも川本、山崎の清水ホットラインでゴールネットを揺らし、前半を終えた。

 守勢に回った前半を「単調な攻撃が多かったことでボールを失い、ネガティブな守備に繋がっていた」と分析した生方監督は、「フロンターレの代表として来ているので、恥ずかしいプレーはできない。絶対に点を獲ってやるという想いでピッチに入った」というMF宮城天(川崎F U-15)ら攻撃陣を中心に5人の選手を入れ替え、後半に挑んだ。対するWESTも6人の選手を投入したが、前半の勢いは変わらず。後半13分に藤尾のシュートのこぼれ球をDF丸山優太朗(清水ジュニアユース)がボレーで狙うなど積極的に6点目を狙ったものの、「全体が間延びし、中盤が作れなかった」(岩下監督)ため徐々に勢いを失った結果、流れはEASTに傾く。

 24分には中央でボールを持ったMF黒川海翔(川崎F U-15)からのパスを受けたFW松田詠太郎(横浜FMジュニアユース追浜)が右サイドを突破。相手の警戒を引き寄せたタイミングで、ゴール前にパスを入れると最後は細谷がフリーでゴール右隅に流し込んだ。ここからは「5点差まで開いたせいで、気の緩みがあったと思う。1点奪われてからは自分たちで崩れてしまった」(川本)WESTを尻目に、EASTの勢いが加速。32分にはミドルゾーンでボールを受けた宮城がドリブルで一気にスピードを上げて、中央を突破。ゴール前30m付近で倒され、FKを獲得すると、「今までずっと練習してきたので絶対に決めてやると思った」と自らゴール左上を正確に射抜いた。以降も反撃の手を緩めず、アディショナルタイムにも細谷がこの日2点目をマーク。最後にEASTが意地を見せたが、前半の貯金を保ったWESTが5-3で勝利し、3連勝を果たした。

 地元の小学生を中心に1万人近い観客が訪れたこの日はEASTの選手が、生方監督に「今日は有料試合。君たちはまだ中学生かもしれないけど、小学生が君たちに憧れてお金を払ってくれる。何を見せるか質も大事だけど、ひたむきにボールを追いかけたり、最後まであきらめずに身体を張ったり、最低限のプレーはしっかり見せてくれ」と送り出されたように普段味わえない経験をする絶好の機会。WESTも試合前に岩下監督から「自分をアピールしてこい」と声をかけられていたという。

 MVPを受賞した川本、敢闘賞を受賞した食野と細谷など指揮官の声掛け通りに力を発揮できた選手がいた一方、雰囲気に飲まれてしまった選手がいたことも確か。結果以上に選手の明暗が分かれる試合となったが、「少し落ち着いたときに彼たちは色んなことを思う。この年代は悔しい経験を次に活かす年代だと思っている」と生方監督が話すように、課題が見えたことすらも選手たちにとっては大きな収穫と言える。お祭りのような一戦を味わった、34人の選手は更に成長していくはずだ。

(取材・文 森田将義)

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