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横浜FM内定DF高野遼が決勝アシスト、日体大の逆転勝利をお膳立て

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[9.12 関東大学リーグ1部第12節 慶應義塾大2-3日本体育大 保土ヶ谷]

 最後の最後まで走り抜くタフさは結果を生んだ。日本体育大慶應義塾大に3-2の逆転勝ち。後期リーグ初戦を白星で飾り、上位進出へ幸先良いスタートを切った。決勝点をアシストしたのは、来季の横浜F・マリノス入りが内定しているDF高野遼(4年=横浜FMユース)だった。

 左SBで先発した高野。対面には2列目にMF近藤貫太(3年=愛媛)が控え、SBには手塚朋克(3年=静岡学園高)が位置していた。序盤から攻撃参加のチャンスを伺っていたDFだが、相手の寄せの早さに苦しみ、また幾度も攻め上がる近藤のケアに忙しく、なかなか前へ出るシーンは少なかった。

 それでも時間の経過を感じさせない運動量を維持すると、徐々に前へ前へ顔を出すシーンが増えていく。そして2-2の後半38分、味方がダイレクトにつないだボール。「足がつりそうだったので、最後の力を振り絞って。和馬と川戸(大樹)がいたなと、その辺りへ蹴り込みました」。左サイドを上がっていた高野は正確なボールを蹴り入れた。これをMF高井和馬(4年=千葉SCユース)が頭で決めた。

「今日は本当に最後のクロスがやっと。その前のクロスボールはGKにいったりとかあったので、ダメだなと思っていて……」と反省が続いたDFだが、決勝アシストと“帳尻”を合わせてくるのは流石のところ。これが決勝点となり、チームは3-2で勝利した。

 この日、高野と対峙する機会の多かった慶應義塾大の手塚は「僕にとって、今シーズンで一番楽しみにしていた相手が高野くんだったんです」と明かす。前期はMFとしてのプレーが主だったが、「上を目指すためには2つのポジションができたら幅が広がる」という須田芳正監督の下、夏以降はSBでプレーする時間がほとんどだった手塚にとって、高野は自分の力を試す絶好の相手でもあったのだ。

 対戦を終えた3年生は「一番楽しみな相手だったし、気合も入っていました。前半は先手も取れたと思うんですけど、向こうの方が上手(うわて)だったなと後半には感じました。まだまだです」と悔しさをのぞかせた。

 相手に「上手だった」と言わしめたものの、高野本人は「相手のSB(手塚)もSH(近藤)もすごい攻撃的で、ガンガン前へくるので。すごく嫌でしたし、自分のところにボールが入ったときのプレスも早くて、警戒されているなというのは感じていました。やられてしまった感じはあります」と謙虚に話した。とはいえ90分を通じてはほぼ互角といえる対面での勝負だったが、最後のところで結果につなげたのは、誰でもない高野だった。

 来季Jリーガーになることもあり、後期リーグでは自然と注目される立場になる。横浜FM入りが近づくDFは「それを考えるとプレッシャーですけど、やっぱりそれなりのプレーをしないと。“あいつはあんなものか”と見られてしまうので。もっともっと自信を持ってプレーしていかないと、今日みたいなプレーではまずいなと反省しています」と冷静に自らの立ち位置を見据えた。

 なお、既に横浜FMの特別指定選手として承認されており、ルヴァン杯のグループリーグでは、柏、鳥栖、福岡戦の3試合にフル出場した。しかし、クラブのエリク・モンバエルツ監督から直接言葉を受けることもあるようで、「攻撃の部分は評価してもらっていますけど、監督から『守備のところやチームのやり方をまだ理解しきれている部分があるので、試合には出せない』と言われています」と明かした。

まずは日本体育大で出来ることをやり切り、経験とともに結果を重ねていく。「今日みたいに泥臭くていいので、チームの勝利につながるアシストをできれば」。来季の“古巣復帰”を前に、高野は今いる場所での活躍を強く誓った。

(取材・文 片岡涼)
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