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[AFC U-16選手権]激しい当たりが「普通」に。U-16日本代表圧勝の背景にある森山イズム

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森山監督の厳しい指導の下で選手たちは変化。MF平川怜はこの日も激しいプレー

[9.16 AFC U-16選手権グループリーグ第1節 日本7-0ベトナム]

 主将のMF福岡慎平(京都U-18)は以前、チームのモットーとして「球際での激しさ。そこで負けないこと」を挙げている。FW久保建英(FC東京U-18)も、課題を問われて「守備の切り替え、運動量」を挙げた。

 距離を詰める。体を当てる。奪い切る。サッカーでは当然のプレーと言えばそのとおりなのだが、「言うは易し」。簡単なことではなく、また対戦相手より戦力的に上回ることの多いJクラブユースの選手たちが必要性を感じにくい要素でもある。だが、森山佳郎監督はチーム結成から徹底してそこにこだわり、取り組む姿勢のない選手については、実力者であってもメンバー外にすることを辞さなかった。実際、FW宮代大聖(川崎F U-18)もMF平川怜(FC東京U-18)も、それを理由にメンバーから外された時期がある。

 森山監督は同時に「良くなっていると思えば、戻すつもり」とも語り、所属チームに戻ってからの取り組みを観察。単にできない選手を切り捨てるのではなく、取り組み始めるのを待つ姿勢で、選手に変化を促した。もちろん、合宿の中でも「詰める、戦う、頑張る」を怠る選手には厳しく指摘。直前の国内合宿でも、サイドの1対1で怖がって距離を空けて対応していた負傷明けの選手を激しい口調で糾弾していたのは印象的で、あれは全体に向けたメッセージでもあった。「とりあえず抜かれなければOK」というアリバイ守備ではない、本当のディフェンスを見せること。それをあらためて求めたのだ。

 チームスタートの時期を観ている身からすると、選手たちの進歩は本当に目覚ましい。練習からの激しい当たりが「普通」になってきた感覚があり、平川などはむしろ激しいコンタクトプレーで際立つ選手になってきた。この日も福岡の2点目に繋がったボール奪取は、青赤軍団のマエストロによる激しいディフェンスが起点である。「上手いだけじゃダメなんだ」という指揮官の教えはまだ道半ばだとは思うが、それでも着実に選手たちの間に浸透している。この日、ベトナムを相手にイーブンボールで後れを取るシーンはほとんどなかった。7-0での圧倒的勝利の背景には、熱血指揮官と選手たちが厳しく鍛え抜いてきたベースの高さがあった。

(取材・文 川端暁彦)
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