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[プレミアリーグWEST]「僕らは諦めていない」。5位・G大阪ユースが劇的AT弾で大阪ダービー制す!!

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[9.18 高円宮杯プレミアリーグWEST第13節 G大阪ユース 3-2 C大阪U-18 G大阪グラウンド]

 高校年代最高峰のリーグ戦、高円宮杯U-18サッカーリーグ2016 プレミアリーグWESTは18日に第13節2試合を開催。ガンバ大阪ユースセレッソ大阪U-18による大阪ダービーは後半アディショナルタイムに奪ったFW松本歩夢の決勝ゴールによって、G大阪が3-2で勝利した。

「いつもと違う雰囲気がある。『ダービーは負けてはいけない』と監督からも言われていたし、自分たちも負けたくない気持ちが強かった」。G大阪FW小西雄大がそう意気込めば、C大阪のMF中島元彦も「G大阪は絶対に負けちゃいけない相手。試合前に『絶対に勝とう』と皆で口にしていた」と振り返ったように、大阪同士の対決は他とは一味も二味も違う。互いの意地がかかった一戦は両サポーターの熱い声援も後押しして開始から両者激しくぶつかった。

 まずはキックオフ直後にC大阪が見せ場を作った。自陣左でのリスタートから一気にサイドを変えると、ボールを受けたDF印藤虎太郎がワンツーでPAまで侵入したが、フィニッシュまで持ち込めない。直後にはG大阪も攻撃に転じ、右サイドを上がったDF杉山天真のパスから小西がゴールを狙ったがDFに当たってCKとなった。

 出だしこそ上々のスタートを切ったC大阪だったが、以降は「声があまり出ていなくて、気持ち的に全員が受け身になってしまったせいで、まったく走れていなかった」(中島)と持ち味である豊富な運動量を活かした戦いを披露できず。対するG大阪はJ3への出場を優先したため、「絶対的エース」(小西)であるFW食野亮太郎が不在となったが、MF芝本蓮梅津克貴のダブルボランチを中心にボールを動かし、得点機会を伺う。16分には中盤から右前方にスルーパスが通り、走り込んだ小西がフリーでシュートを放ったが、枠の左に逸れてしまった。

 両者こう着したチャンスを活かせない場面が続く中、均衡が崩れたのは41分。右サイドから杉山が入れたクロスは中と合わなかったが、反対サイドで味方が拾い、再びゴール前に浮き球を展開する。このボールはC大阪のDFに弾かれたものの、こぼれ球にいち早く反応した芝本が冷静にシュート。低い弾道を描いた一撃は相手に当たってコースを変えると、ゴール右に突き刺さった。

「練習からこぼれ球を狙う意識を高めていた」(松本)一撃によって、G大阪のリードで前半を終えたが、C大阪もこのままでは終われない。ハーフタイムに村田一弘監督から「走れていない」と喝を入れられると、後半6分には早速、PA内へと走り込んだ中島がGK渡辺健太に倒されてPKを獲得。自らが落ち着いて中央に叩き込んだ。

 続く9分にもG大阪のDF裏に落ちたボールを松岡がダイレクトで合わせるなどC大阪の勢いが増すかと思われたが14分、G大阪はPA左でFKを獲得すると、山下が直接狙ったキックがゴール左上を急襲。一度はGK井上聖也のファインセーブに阻まれたものの、こぼれ球を小西が逃さず、押し込んだ。

 G大阪が手にした2度目のリードも長く続かず、17分にはC大阪に再び決定機が到来。途中出場のDF齋藤遼が右サイドを抜け出し、シュートをお見舞いすると、GKがこぼしたボールを中島が押し込んで試合はまたしても振り出しに戻った。以降も一進一退の攻防が続いたが、アディショナルタイムに劇的なゴールが生まれる。左からのパスをゴール前中央で受けたG大阪・小西がフリックでPA右に流すと、松本がフリーで反応。「雄大が触ってくれたので触るだけでした」と冷静にニアに流し込み、熱戦にケリをつけた。

 前期を5位で終えたG大阪は、後期スタートから巻き返しを狙ったものの、再開初戦の大津高校(熊本)を0-3で落とすと、続く東福岡高(福岡)戦も0-2で完敗。結果はもちろん、試合内容としても満足のいくものではなく、チームの雰囲気は沈んでいたという。だが、「上手く行かない時に立て直せる人がいなかったし、“全員でやろう”と雰囲気もなかったので、このままじゃいけないと気持ちになった。みんなで『まだ終わってないぞ、優勝を狙えるぞ』と声をかけ、練習の姿勢から変えていこうと意識した」(小西)ことにより、前節の神戸弘陵高(兵庫)で連敗をストップ。優勝争いへの生き残りがかかったこの日の試合で勝ち点3を手にした意味は大きい。

 首位を走るサンフレッチェ広島ユースとの差はまだ開いており、逆転優勝を掴むためには負けられない試合が続くが、「まだまだ僕らは諦めていない。ここから全勝して上に食らいついていきたい」(小西)。「もう1試合も落とせないので、ここからも1試合1試合しっかり勝ち点3を積み上げていきたい」(松本)と選手は声を揃える。G大阪の反撃は始まったばかり。ダービーでの勝ち点3奪取をその反撃の序章にするつもりだ。

(取材・文 森田将義)
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