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[AFC U-16選手権]ハットトリックに込めた熱い競争心。ギラギラと燃えるハマのストライカーが結果を残す

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棚橋は3得点の活躍で勝利に貢献

[9.19 AFC U-16選手権グループリーグ第2節 日本8-0キルギス]

 AFC U-16選手権第2戦、U-16日本代表の主役は第1戦で出番自体なかったFW棚橋尭士(横浜FMユース)だった。34分に全体の口火を切る先制点を自分のディフェンスを起点に生み出すと、後半8分には鮮やかなテクニックからアウトサイドキックで追加点。さらに35分にはPKからこの日3度目のゴールを奪ってハットトリックを完成させ、8-0での大勝を演出することとなった。

 とりわけ、森山佳郎監督が「あの1点目が大きかった」と振り返った先制弾は、まさに値千金。チャンスすら作れない流れの中で、可能性の薄い状況でも相手DFに懸命に詰めたことがミスを誘発してゴールに繋がったのだが、その姿勢自体がまず賞賛されるべきだろう。

「あの時間帯はチームの流れが悪く、いつ失点してもおかしくない状況だったので、あそこは貪欲にボールを奪いに行って、その結果ボールを取れて、あとはGKと1対1だったので、決めるだけでした」(棚橋)

 ここに至る過程は決して順風満帆ではなかった。昨年は夏の日本クラブユース選手権(U-15)で優勝を飾り、代表にもコンスタントに選出されてきたが、今年に入ってからは昇格した横浜FMユースでなかなか出場機会に恵まれず、代表への招集が止まった時期もある。「チームで試合に絡んでいない選手は使わない」という森山監督の方針があっての措置だったが、しかし負傷者が出たこともあって招集されたインターナショナルドリームカップではMVP級の働き。以降は呼ばれるたびにゴールを決め、最終的には「(棚橋は)呼んだら結果を出すからなあ」(同監督)とその方針を少々曲げさせるほどに、代表での結果を積み上げ、指揮官を「説得」してみせた。

 ギラギラとしたゴールへの執着心は棚橋の持つ最大の武器だ。最終メンバー決定直前に行われた8月末の鹿児島合宿でも「メンバーに入るだけではダメ。先発を奪えるくらいの結果を残す」と意気込んでいたのが印象的だった。紅白戦で控え組に回っていても意欲は失わず、このキルギス戦の前日練習後も「他のFWが結果を残しているので、出たら結果を残したい。結果を出すことがFWとして一番大事」と燃えていた。

 ハットトリックに加えてアシストでも棚橋の第2戦での活躍は、FW全体のチーム内での争いにも「火をつけてくれる」(森山監督)ものだった。「初先発で3点取れたことは良かった」と笑顔で振り返った棚橋は、「他にも決めるべき場所がいっぱいあったので、そういうところは改善点だと思います」と気を引き締め直す。この活躍で満足するような男でもないだろう。結果を残すことで完全に代表のレギュラーを奪って、さらに結果を出す。そのギラギラした野心が、ハマのストライカーを支えている。

(取材・文 川端暁彦)
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