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「まだ、こんなものか…」 厳しい表情見せる川崎F原川

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久々の先発出場となったMF原川力

[9.22 天皇杯3回戦 川崎F4-1(延長)千葉 等々力]

 今夏、リオデジャネイロ五輪代表の一員として、世界を相手に戦った。しかし、川崎フロンターレMF原川力は所属クラブで出場機会をつかめずに苦しんでいる。天皇杯千葉戦では久し振りに先発出場の機会が与えられ、本人も当然のように燃えていた。

 右サイドハーフの位置でスタートした原川は、「シンプルにPAの中に入っていく回数にこだわって今日はやった」と語るように、与えられた出場機会の中で結果を求めていた。前半28分にはワンツーから前線まで上がり、ミドルシュートでゴールを脅かしたものの、ボールはゴール右へと外れてしまう。その後は時おりボランチにポジションを移しながらも、積極性を示してシュートも計3本放った。しかし、得点には結び付かなかった。

 チームは延長戦までもつれた試合を4-1で制し、原川自身も120分間ピッチに立ち続けたが、試合後に笑顔はなかった。「ブラジルとも対戦し、五輪も終わった。帰国してから自分の中でいろいろ考えながらやっていますが、『まだ、こんなものか』という感じです」。こだわったPA内への進入回数は限られ、結果を残せなかった男は「成長スピードが遅い」と厳しい表情を見せた。

 今季、京都から川崎Fに加入し、初めてJ1の舞台で戦っている。しかし、第1ステージの出場は4試合、先発出場は1試合にとどまった。そして第2ステージはリオ五輪開催時期が重なったこともあるが、ピッチに立つ機会を与えられていない。「理想とのギャップはある」と唇を噛みながらも、「競争があるのがチームだし、それが当たり前」と現実を受け止める。

 ともにリオ五輪を戦ったFW浅野拓磨やMF大島僚太、MF遠藤航らはA代表に戦いの場を移していることもあり、A代表は視線の先に見据えているが、「まずは(クラブで)試合にでないと話は始まらない」と語気を強める。「自分は結果を出さないといけない立場。短い時間で結果を残せるように準備したい」。ピッチ上で結果を残すべく、成長スピードを速めて巻き返しを狙いたい。

(取材・文 折戸岳彦)
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