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[AFC U-16選手権]再浮上してきた“頼もしい男”FW上月、課題に回答する2発!

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後半37分、FW上月壮一郎は右足ミドルでこの日2点目のゴール

[9.22 AFC U-16選手権グループリーグ第3節 日本6-0オーストラリア]

 誰もが認めるポテンシャルを持つ男だ。180cm近い長身と爆発的な走力を兼ね備え、パワフルなシュートも魅力的。上月壮一郎(京都U-18)はそんな能力を森山佳郎監督に買われ、00ジャパンに定着してきた。メンバー発表前最後の鹿児島合宿で「結果を残さないと生き残れない」と大活躍を見せ、現地出発前最後の練習試合となった鹿島ユースとの練習試合でも左MFで先発。レギュラーに近い選手なのも間違いない。

 ただ、インド入り後はもがき苦しんだ。プレッシングのタイミングやボールを受ける動きなど戦術的な部分に加えて気持ちの部分での不足を厳しく指摘され、第1戦は先発から外され、出番もなし。第2戦も前日練習まで先発組に入りながら、トレーニングの中で指揮官の要求に応えられず、「このままでは使えない」と厳しい宣告も受け、やはり出場機会を与えられなかった。

 迎えたオーストラリアとの第3戦は、「あれ(課題を指摘されて出られなかったこと)は僕の問題。この2試合出られなくて、この試合に懸ける思いがあった」のも当然だろう。与えられたポジションはFW。「今日絶対活躍して、貢献できればと思っていた。体張って戦うところと、前線からの守備は意識していた」と試合に入った。

 その上月にビッグチャンスが巡ってきたのは、開始4分のこと。2トップを組んだ宮代大聖(川崎F U-18)とともに前線からボールを追う流れで、オーストラリアDFアクイリーナが痛恨のミス。思わぬプレゼントボールが上月に転がってきた。PAすぐ外から得意のスペースへのドリブルでDF1枚をはがし、「みんな結果を残している。誰が出ても刺激し合えるように」という思いを込めたシュートで、ゴールネットを揺らしてみせた。

 ファーストチャンスでゴールを奪いながらその後は大苦戦となった日本。前半の半ばからは中盤が下がり過ぎてFWが孤立するような場面も増え、“空追い”のようなスタミナを削られるチェイシングを強いられる状態も続いた。ただ、それでも上月の戦意は落ちず、戦う姿勢を継続。37分には、またもドリブルからの強シュートという形で相手GKのニアを破り、この日2点目のゴールも記録。6-0での大勝に貢献した。

 決して小器用な選手ではないが、自分の課題に向き合える努力家である。指揮官もヘコまされてもそれに負けまいと伸びてくる上月の姿勢を買っているのだろう。世界切符を懸けた決戦となる準々決勝、そしてアジア制覇に向けて、頼もしい男が再浮上してきた。

(取材・文 川端暁彦)
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