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[プリンスリーグ東北]想定外の連続!仙台ユースが2点ビハインドから尚志に逆転勝利し、2年ぶりV!!

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優勝を決めたベガルタ仙台ユースイレブン

[9.24 高円宮杯プリンスリーグ東北第18節 尚志高 2-3 仙台ユース 尚志高G]

「0-2になるのは正直想定外だった(ベガルタ仙台ユース・越後和男監督)」「この日のために用意した右SHが30分しか持たず、2失点目でミスが重なったのが想定外でした(尚志高・仲村浩二監督)」お互いの監督から「想定外」という言葉が出るほど、驚きの連続の試合だった。

 24日、「高円宮杯U-18サッカーリーグプリンスリーグ東北第18節」が東北各地で行われ、福島県郡山市の尚志高校グラウンドでは、首位の尚志と2位の仙台ユースが対戦した。

 プリンスリーグ東北の優勝争いは前節の段階でこの2チームに絞られていた。両チームともに勝ち点41で並んでおり、尚志の方が得失点差で上回っているため、尚志は勝つか引き分けで優勝、仙台ユースは勝てば優勝という条件だった。優勝決定戦となる大一番ということもあり、尚志は応援団やチアリーディング部が駆けつけ、仙台ユースもベンチ外の選手全員とサポーターが大声援を送るなど、熱気を帯びていた。

 立ち上がりにペースを握ったのは尚志。仙台ユースDF樫崎桂太(3年)が「相手の勢いに押されてしまいました」と反省した通り、仙台ユースは尚志のショートカウンター攻撃の勢いに防戦一方だった。そして7分「CBからのボールを(渡部)公平君が競ったら絶対DFの後ろに信じて走れと言われていて、中が空いていたので思いきり打ったら良いコースに行きました」と振り返ったMF加野赳瑠(2年)のミドルシュートがゴール右隅に突き刺さり、尚志が先制。さらに17分にはMF松本雄真(2年)からパスを受けたFW渡部公平(3年)がゴールを決め、仙台ユースを突き放した。渡部は今大会18得点目で大会得点王となった。

「前半から選手を替えていくかどうか、スタッフはてんやわんやでした。結果的に様子を見て良かったです」と振り返った仙台ユース・越後監督。3点取らなければ優勝できない窮地に立たされ、選手を入れ替えるのとは別の方法で大きな賭けに出た。左SH荒井秀賀(2年)とボランチのMF熊谷奎哉(3年)のポジションを入れ替えた。ジュニアユース時代、左SBだった熊谷から良いクロスが入るようになり、右サイドも縦突破ができるようになった。

 そして30分、仙台ユースMF佐々木翼(3年)のクロスを受けようとしたFW齋藤耀之介(3年)がPA内でファウルを受けPKの判定。齋藤が追いついてPKを決めて1点差に詰め寄った。さらに41分、左SHに移った熊谷がゴール前へクロス。尚志GK堀江亮博(3年)が弾いたボールが味方DFに当たり、こぼれ球を仙台ユース・佐々木がゴールに押し込み、仙台ユースが前半で2-2の同点に追いついた。

 流れをつかんだ仙台ユースは後半も攻勢を強め、13分、右サイドに開いたFW阿部龍之介(3年)がゴール前へクロス。「龍(阿部)が右で粘ってくれて、自分はフリーだったので「(クロスボールが)こっちへ来い」と願ってゴール前へ入った結果、クロスが来てくれたのであとは叩きつけるだけでした」と振り返った通り、正確なクロスから熊谷がヘディングシュートを決めて、ついに3-2と仙台ユースが逆転に成功した。追いつきたい尚志は選手を入れ替えながら逆転を狙い、終盤は長身選手を増やしてパワープレーに出たが、仙台ユースは全員が守備意識を高く保ち、ゴールを許さず、試合終了。3-2で勝利した仙台ユースが2年ぶり3回目の優勝で、2年ぶりのプレミアリーグ参入戦出場権を獲得。尚志はプリンスリーグ東北残留が決まった。

 絶体絶命の状況から公式戦でほとんどやったことのない熊谷の左SHという賭けに出て、見事に勝利をつかんだ越後監督も「まさか点まで取ってくれるとは思いませんでした」と驚くほか無い展開。トップ昇格したDF小島雅也、MF佐々木匠を擁し、日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会3位となったメンバーから大幅に入れ替わった今シーズンのチームは、個々がやや小粒な印象もあったが、団結力は強かった。キャプテンDF上田健斗(3年)は「自分たちはプレミアという舞台を経験していないので、それを後輩に残して行けたら、最高のプレゼントだと思います。それを目指して、新たに始まる思いで、全員でやっていきたいと思います」と団結力の強さを武器にプレミアリーグ参入に向けて強く意気込んだ。

 2点のリードを守りきれず、優勝とプレミアリーグ参入戦出場を逃した尚志・仲村監督は「ここ最近のプリンスリーグ東北の遠野高戦や聖和学園高戦、練習試合の流通経済大柏高戦で追いつかれる展開が続いていました。2-0までは行けるという感覚が自分にはあったので、選手たちには(注意するよう)言っていたつもりでしたが、トレーニングで落とし込みきれなかったかもしれません。まず自分が変わらないと選手は変わらないと思います」と悔しさを噛みしめた。  

(取材・文 小林健志)
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