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[国体少年男子]登録16人全員で戦い抜いた東京都が熊本県に1-0勝利

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(写真協力 高校サッカー年鑑)

[10.2 国体少年男子1回戦 東京都 1-0 熊本県 遠野運動公園陸上競技場]

 第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」サッカー競技少年男子の部が2日、岩手県遠野市で開幕した。13年優勝の東京都と熊本県との一戦は東京が1-0で勝利。東京は3日の2回戦で北海道と対戦する。

 立ち上がりこそ、東京がMF天野悠貴(FC東京U-18、1年)のミドルシュートや長身左SB新井秀明(川崎F U-18、2年)の攻撃参加などで押し込んだが、その後ボールを保持したのは熊本の方だった。名門・大津高でもレギュラーを張る1ボランチのMF福島隼斗(1年)が起点となってグラウンダーのパスワークで東京を押し返した。2列目のMF吉岡涼斗(東海大熊本星翔高、1年)らが楔になりながら縦横にボールを動かし、最後の局面をダイレクトのパスで崩そうとする。そして長身の左SB徳永敦優(ルーテル学院高1年)の攻撃参加、左足キックからチャンスも。22分には左クロスを相手DFがクリアミスし、ボールがクロスバーを叩く。29分には右サイドでボールを奪ってからFW林駿平(東海大熊本星翔高2年)がフィニッシュまで持ち込んだ。

 だが、竹原康夫監督(高輪高)が「守備はやってきていました。守備やんなきゃダメだし、守備して失点しない戦いしないといけない」と話す東京は相手にボールを握られる時間帯が続いても佐々木陸生(三菱養和SCユース、2年) と齋藤我空(駒澤大高1年)の両CBを中心にシュートコースを消して最後のところで決定打を打たせない。逆に前半終盤は東京が立て続けにチャンスをつくる。31分、スルーパスにMF杉山伶央(2年)が反応したシーンは熊本GK早崎樹(秀岳館高2年)が飛び出してセーブ。東京は32分にもFW宮本稜大(國學院久我山高1年)とのパス交換からFW米津天(成立学園高2年)が右足を振り抜く。34分にも右サイドから斜めに出されたパスで宮本が抜け出して決定的な左足シュートを放った。

 後半立ち上がりは熊本が福島のスルーパスからチャンスを迎えたが、東京はディフェンス時に2トップから1トップにして相手のキーマンである福島の存在を消すことにチャレンジ。そこに入るパスを封鎖し、また複数の選手が彼を潰しに行くことで後半は攻撃のリズムをつくらせなかった。守備から流れを変えた東京。8月の関東ブロック予選では強敵・千葉県を相手に守備を徹底して1-0で勝利し、国体出場を決めているチームがまずはチームのベースの部分を見失わずにやり続けていく。

 その東京に幸運な形で先制点が入る。後半8分、右サイドでボールを受けたSB草住晃之介(FC東京U-18、1年)がターンしてからクロスボールを上げ切る。ゴール方向へ向かったボールがGKの頭上を越えてゴールへと吸い込まれた。「最近ゴールが取れていなくて、中途半端に回して取られることが多かったので、上げるべきところで上げ切ることは意識していました」という草住の“シュータリング弾”。先制された熊本はFW竹宮彪真(ルーテル学院高1年)へスルーパスが入るなどチャンスを迎えるが、東京のタイトな守備の前に簡単にシュートを打たせてもらえない。また吉岡がシュートまで持ち込んでも、70分間を通して安定していた東京GK遠藤雅己(1年)に阻まれて1点を奪うことができなかった。

 29分、東京はインターセプトした杉山が切り返しでGKを振り切ってシュートを放つもここは熊本CB江崎巧朗(2年)がスライディングでクリア。東京は終盤、交代出場のFW中込雅樹(東海大高輪台高1年)のスピードや大型FW赤井シャロッド裕貴{帝京高1年)の強さが相手を後退させる、熊本も何とか1点をもぎ取ろうと攻め返したが、佐々木が「ミニ国(関東予選)も千葉とやって、相手の方が強い中で守備は堅くっていう方向性でやっていた。きょうも1点取ったら後ろはゼロで1-0で勝てればいいからという考えでやっていた」という東京が1-0で勝利。初戦突破を果たした。

 東京の竹原監督は「ミーティングでは『完璧な選手いない。去年に比べたら総合力では劣るけれども、一人ひとり力を出せるパフォーマンスは持っているんだから、特長をみんなが理解してやれ、足りないところはカバーしてやれ』と。本当に16人で戦わなければ行けないチームなんで、きょうも足が攣ったりしている中で交代選手がキツイ中で前へ持ち出してくれたり、役割をしっかりとやってくれた」とベンチ含めて声を掛け合い、全員で戦い抜いた選手たちに感謝していた。チームの主軸だったFW棚橋尭士(横浜FMユース、1年)やGK大内一生(横浜FCユース、1年)がAFC U-16選手権出場のために不在。それでも全員でカバーし、守って白星を勝ち取った。昨年からのメンバーである主将の佐々木は「みんなが口にしているのは優勝。(イブンは)去年(初戦敗退を)経験しているので甘くないのは分かっている。まずは次の試合にコンディション合わせてやっていきたい」。全員で戦う「チーム東京」がまずは目標への第1関門を全員でクリアした。

(取材・文 吉田太郎)
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