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[国体少年男子]2000人観衆の中で「大阪のサッカーを見せたい」、最後まで攻めた大阪府が地元・岩手県に快勝!

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後半33分、大阪府はMF大垣のゴールによって2-0に。(写真協力 高校サッカー年鑑)

[10.2 国体少年男子1回戦 岩手県 0-2 大阪府 遠野運動公園多目的運動広場]

 2日、第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」サッカー競技少年男子の部1回戦が行われ、開催権の岩手県と08年から6年連続で4強入りしている強豪・大阪府との一戦はCB河井哲太(G大阪ユース、1年)とMF大垣勇樹(興國高2年)のゴールによって大阪府が2-0で勝った。大阪府は3日の2回戦で富山県と戦う。

 会場に集った観衆2,000人の大半は地元岩手を応援。河井は「めちゃめちゃやりにくかったです。めっちゃアウェー感あって相手はホームで、イケイケで、飲まれかけてきつかったです」と振り返る。前半16分にMF奥野耕平(G大阪ユース、1年)の右CKから河井の先制ヘッドで会場を沈黙させた大阪はその後もスピードあるパスワークと個々の迫力ある仕掛けなどで岩手を攻め立てた。梶田浩信監督(FC Unione柏原)が「きょう、凄く良かった」と評したMF岩本翔(G大阪ユース、1年)が切り替え速くボールを奪い返せば、チームの中心として存在感を見せ続けた奥野が長短のパスで攻撃をコントロール。特にSB山口和樹(C大阪U-18、1年)とMF足立翼(G大阪ユース、1年)の左サイドから精度高く、テンポの速い攻撃で岩手を押し込んだ大阪はゴール前でのショートコンビネーションも合わせてFW原田烈志(G大阪ユース、1年)やMF國分龍司(G大阪ユース、1年)らがあわやのシュートを連発していく。

 だが、5バックで守る岩手はCB澤口眞一(盛岡商高2年)を中心にゴール前で非常に粘り強い守り。前線から、最終ラインまでボールを奪い切れなくても、個々が一歩でも深くボールホルダーとの距離を縮めてプレッシャーをかけることが徹底されていた。そして時間が経過するにつれて完全に“モード“に入っていたGK上田翼(盛岡商高2年)がビッグセーブを連発。2点目を許さない。逆に岩手は後半開始から投入された10番FW立花健斗(遠野高1年)が個で大阪の守りを切り裂き、FW村井勇仁(盛岡商高1年)も身体を張ってボールをキープするなど徐々に押し返していく。16分にはMF太田竜雅(遠野高1年)が右足ミドル。21分にトリッキーなFKからMF大向草太(盛岡一高1年)が打ち込んだシュートはわずかに右ポスト外側へ外れたが、好プレーが出る度に沸く地元観衆に後押しされたチームは1点差のまま後半残り10分を迎えたことによって、終盤は完全に勢いに乗っていた。

 それでも梶田監督が「初戦は最初から相手のホームだったので、厳しいゲームになるというのは言っていた。ただ、観客が多い中で大阪のサッカーを見せたいというのはあって、受けに入るなよと大会始まる前から言っていた。(最後は)1-0で終わらへんという姿勢が出たと思います。ボクら(コーチングスタッフ)も点を獲りたいという姿勢を見せたかった」と守りに入るのではなく、FW中川裕仁(C大阪U-18、1年)やFW小松海樹(履正社高1年)というアタッカーを投入してあくまで2点目を狙いに行く。「相手の雰囲気もイケイケだったのでもう2、3点決めて落としてやろうと。自分たちはシンドかったですけど」と笑った河井やCB石尾崚雅(C大阪U-18、1年)、奥野らに支えられて攻め続けた大阪は終了2分前に右FKから加点。奥野のキックをニアサイドへ飛び込んだ大垣が頭で合わせて勝負の行方を決定づけた。

 岩手の粘り強い戦いの前にロースコアに持ち込まれたものの、インパクトある戦いぶりでまず1勝を挙げた大阪。CB瀬古歩夢(C大阪U-18、1年)やGK谷晃生(G大阪ユース、1年)ら国体選抜の主軸候補と言える5選手がAFC U-16選手権出場のために、強化段階からメンバーを外れ、最後にU-16代表メンバー入りを果たしたMF谷本駿介(C大阪U-18、1年)もチームから離れた。だが、層の厚い大阪は彼らがいない中でも新たに主軸となる選手が現れて強さを発揮。梶田監督が「(きょうは流れから決められなかった)FW陣は悔しいと思うと思う。でも、その悔しさは負けない限り続くんで、ボクらはその成長が楽しみです。いいサッカーをしてレベルアップしたい」と語り、悲願の初優勝へ「冷静に、本当に逞しくもっともっと逞しくなって優勝したい」と力を込めた。

 河井は「きょうのサッカーで岩手の方々を味方につけられば」と期待。そして奥野は「毎年大阪は期待されていて優勝できていないので今年は結果を求めてしっかりやっていきたいです」。多くの観衆の前で、大阪らしいボールを保持した攻撃的なサッカーと強さを示しつつ、今年は勝ち切ることもより求めて歴史を変える。

(取材・文 吉田太郎)
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