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[国体少年男子]初戦で実現したビッグマッチ、前回王者の福岡県がMF野寄の劇的2発で千葉県破る!

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後半35分、福岡県はMF野寄が先制ゴール。(写真協力 高校サッカー年鑑)

[10.3 国体少年男子2回戦 福岡県 2-0 千葉県 遠野市国体記念公園市民サッカー場(人工芝)]

 初戦で実現したビッグマッチは福岡県が制す! 3日、第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」サッカー競技少年男子の部2回戦が行われ、前回大会優勝の福岡県と千葉県との一戦は試合終了間際にMF野寄和哉(東福岡高1年)が決めた2ゴールによって福岡が2-0で勝利。福岡は4日の準々決勝で東京都と戦う。

 福岡の星原慎也監督(北九州市立沖田中)が「ここはいい意味で注目されたと思います」と語った注目の大一番。その勝敗を分けたのは「仕留める」部分だった。昨年度全国2冠の東福岡高中心にアビスパ福岡U-18や九州国際大付高の選手たちが先発に名を連ねた福岡に対し、千葉は今年の全国高校総体で優勝している市立船橋高と柏レイソルU-18が各5人ずつ。これにジェフユナイテッド千葉U-18の1選手が加わる陣容だった。千葉はエース格のFW森海渡(柏U-18、1年)やU-16日本代表CB関川郁万、SB佐藤輝(ともに流通経済大柏高1年)という主軸がケガによってメンバーを外れていたものの、それでも前半からボールを支配して福岡を押し込んだ。

 福岡の野寄や10番MF北島祐二(福岡U-18、1年)、FW大森真吾(東福岡高1年)に突破を許すシーンもあったが、千葉はいずれも柏U-18に在籍する左利きMF山下雄大(1年)、MF小野寺巧(1年)、MF山田雄士(1年)のトライアングル中心に判断よくボールを動かすと、12分には左SB岡井駿典(市立船橋高1年)のクロスにFW松尾勇佑(市立船橋高1年)が飛び込み、その後も抜群のスピードを活かして相手の背後へ抜け出す松尾が脅威となった。25分には敵陣でのインターセプトから抜け出した松尾がPAへ侵入。だが福岡は、後方から追いかけた俊足CB西田翔央(東福岡高1年)がギリギリのところでブロックして得点を許さない。
 
 福岡の星原監督が「ポゼッションが上手でボクらも見習わなければならないところですね。千葉は凄いです」と素直に認めた千葉の攻撃。後半立ち上がりも千葉はMF郡司篤也(市立船橋高1年)やMF井上怜(市立船橋高1年)が相手の守りを破るシーンを作り出した。だが、主将のCB大川智己(九州国際大付高1年)が「(ボールは回されていたが、)自分の中では想像以上ではなかったので、全然行けると思っていました。関東はポゼッションが上手いけれどインターセプトとかやって、福岡の前は個人が強いのでそこをしっかり出せるようにと思っていた」という福岡はスペースを消して昨年の優勝GKである緒方翔平(東福岡高2年)や大川と西田の両CBが千葉のクロスやラストパス、シュートを跳ね返し、そしてカウンターから少ないチャンスをものにしようとする。

 後半20分に大型MF川口祐輝(九州国際大付高2年)を投入してからは中盤で千葉の攻撃を潰すシーンも増加。星原監督が「走らされていても決められなければ流れは来るし、そこで(仕留める)チャンスが来る」というようにチャンスを待ち続けた福岡は後半28分、北島がDF2人をかわしてPAへ切れ込み、30分にはクロスのこぼれに反応したMF篠田憲政(東福岡高1年)が技ありの右足ループシュートを放つ。意表を突く一撃に千葉守備陣の対応が完全に遅れたが、これは小野寺がゴールライン上で頭でかき出すスーパークリア。試合の多くの時間帯で千葉の上手さや質の高さ、福岡の粘り強さと高さを活かした堅守が印象的だった一戦は終盤、千葉の粘り強さや、福岡の技巧という彼らがしっかりと持ち合わせている武器も発揮されていた。

 千葉は31分に郡司が右サイドを完全に抜け出したが、右足シュートは外側のサイドネット。逆に福岡は35分、中盤の攻防の連続から相手選手が一瞬倒れていたところを見逃さずに決定機をつくり出す。前を向いた篠田のスルーパスで左中間を抜け出した野寄が「抜けた時にもう打つしかないと思って。ニア上が一番可能性高いと思った」と左足シュートをゴール左上へ突き刺して先制した。大興奮の福岡イレブン。さらに福岡はアディショナルタイム突入後の37分、中央でボールを持った野寄が左サイドへボールを捌く。そしてMF園田新一郎(九州国際大付高2年)の左足シュートのこぼれ球を野寄が押し込んで決着をつけた。

 繋ぎの部分では理想通りだった千葉。多くの時間帯では守備も安定していただけに朝岡隆蔵監督(市立船橋高)は「あとは仕留めるところだった」。そこでアイディア、精度、個の部分含めて力が足りなかった。一方、千葉の仕留める力を出させず、少ないチャンスで千葉を仕留めた福岡。西田は「今まで支えてくれた人たちの分も戦おうと言っていたので、みんなで戦うことができました」と語り、大川は「去年も愛知との初戦で苦戦してそこから乗っていったと聞いている。ここから乗っていきたいと思います。目標は優勝です」と力を込めた。県外から集まる選手も多い福岡だが、フィールドプレーヤー14名はすべて県内出身組。星原監督が「ボクが中1から見た子なので見てきた思いも強かったので。県外組や早生まれとの振るいに掛けましたけれど、福岡のために頑張りたいという姿勢があった」という選手たちが、今後も福岡のために戦い続け、連覇を果たす。

(取材・文 吉田太郎)
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