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[国体少年男子]「アクションサッカー」貫徹した広島県が2戦連続0-2から逆転!新潟県を延長戦で破って4強入り!

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延長後半アディショナルタイム。広島県はMF山口(左)が決勝点。(写真協力 高校サッカー年鑑)

[10.4 国体少年男子準々決勝 広島県 3-2(延長)新潟県 遠野運動公園陸上競技場]

 第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」サッカー競技少年男子の部準々決勝が4日に行われ、広島県対新潟県戦は延長戦の末に広島が3-2で逆転勝ち。5年ぶりとなるベスト4進出を決めた。

 強風の中で実施された準々決勝。岩成智和監督(広島ユース)が「こういう(強風の)感じでやったのは初めてなんですよ。でも、経験が積めるから楽しもうぜ、風も楽しんで味方につければいいと」と語った広島はその風を一時新潟に味方につけられて2点ビハインドを負ったが、自分たちの「アクションサッカー」で挽回し、2試合連続の逆転勝利を成し遂げた。

「相手を動かして、動いたところにしっかりとアクションして行こう」(岩成監督)という広島の「アクションサッカー」。GK、最終ラインからショートパスをしっかりと繋ぎながら、時に10番のCB鈴直樹(広島ユース、1年)が大胆な展開を入れ、相手の守りが薄くなったところをMF山口直也主将(広島観音高2年)の突破や左MF東俊希(広島ユース、1年)の正確なアーリークロスなどで攻めていく。加えて、目立ったのが守備の部分。同じく後方から丁寧に繋ごうとする新潟のビルドアップを上手く追い込み、FW渡部快斗(広島ユース、1年)がCBからインターセプトして決定機に結びつけた。
 
 立ち上がりから渡部のドリブルシュートやMF森内幸佑(広島皆実高1年)のパスからMF閑田隼斗(広島皆実高1年)が放った左足シュートなどで攻めた広島は15分、渡部のインターセプトから身体の強さを随所で発揮していた長身ボランチMF松本大弥(広島ユース、1年)が決定的な右足シュート。18分には東の絶妙な左足クロスからゴール前で連続シュートを放つ。だが、この日抜群の瞬発力でビッグセーブを連発していた新潟GK藤田和輝(新潟U-18、1年)に止められてしまう。

 広島は前半35分にもインターセプトした渡部がPAへ侵入するが、素晴らしい飛び出しを見せたGK藤田がストップ。我慢の展開となった新潟だが、要注目の中学生MF谷内田哲平(長岡JY FC、中学3年)がトラップ一つでDFをずらし、また右FW小林心(北越高1年)の突破、クロスからチャンスもつくる。広島は1対1でほぼ完璧な対応を見せていた鈴を中心にDF大越寛人(広島ユース、1年)、DF中谷超太(広島ユース、1年)の3バックやボールを良く奪い取っていた松本、閑田のダブルボランチが簡単には隙を見せない。だが新潟は35分、MF高月創太(北越高1年)がDF背後を狙ったパスから10番FW外山光(長岡向陵高1年)が左足シュートへ持ち込んで会場を沸かせた。

 先制したのはその新潟だった。後半15分、新潟は小林のインターセプトから右CKを獲得。谷内田が蹴り込んだCKを中央へ飛び込んだCB入山慶斗主将(新潟明訓高2年)が頭でゴールへ突き刺す。我慢強く戦っていた新潟はベンチ前で喜びを大爆発。さらに20分には右サイドで粘った小林が繋ぎ、DFを引きつけた谷内田が絶妙な斜めのラストパス。これを外山が左足でゴールヘ突き刺して2-0とした。

 広島にとっては宮崎県との2回戦に続く2点ビハインド。だが、岩成監督が「この国体は70分ゲームなので70分で勝つことを考えようと。取られるかもしれないし、取るかもしれない。(1分あればゴールは決まるものなので)一喜一憂しないで70分でやり切ろうと。焦りはなかったですね」と振り返る広島は焦れずに、ボールを確実に前進させていく。そして23分、MF大堀亮之介(広島ユース、1年)の強烈な右足ミドルから最後は交代出場のMF佐々木達也(瀬戸内高1年)が追撃ヘッド。1点差とした広島は大堀のミドル弾や山口の決定的なヘッドなどでゴールを襲い続けるが、新潟は好反応でゴールを死守する藤田を筆頭に入山、CB小泉善人(帝京長岡高1年)らDF陣もゴール前の局面で必死に足を伸ばすなど身体を張って守り続ける。

 それでも上回った広島の執念。試合終了間際の後半35分、広島は鈴の右クロスを新潟のGK、DFがクリアしようとしたが、それが小さくなり、最後は佐々木が右足で同点ゴールをねじ込んだ。劇的な一撃に大興奮の広島イレブン。2-2で突入した延長戦後半には新潟・谷内田が試合を決めるようなプレーを見せる。延長後半6分、MF押久保汐音(新潟U-18、1年)の右クロスから決定的なヘディングシュート。だが、これはGK稲田蓮(高陽高1年)のファインセーブに阻まれ、直後の左CKから直接ゴールを狙った一撃は惜しくもクロスバーを叩いた。またFW藤田凌央(新潟明訓高2年)のパワフルな突破などで広島を苦しめた新潟だったが、佐々木が「ホンマ、神です。奇跡です。自分たちの強さは諦めないところだと思います」と評した広島が2試合連続となる0-2からの逆転勝ちを果たす。

 攻撃参加したDF大越がワンツーから右足シュートを放つなどこちらも攻め続けていた広島は延長後半アディショナルタイム、中盤中央でインターセプトした東が持ち上がって右前方の山口へパスを通す。これを受けた山口が縦の動きから右足一閃。「逆転できると思っていました。最後の最後まで諦めずにやったことが繋がったと思います」というMFの渾身のシュートが逆サイドのゴールネットを破って決勝点となった。新潟がPK戦を想定してGK藤田をGK橋本秋弥(開志学園JSC高1年)にチェンジした直後の劇的な一撃。勝利を決めた広島が喜びを爆発させた一方、新潟イレブンはピッチに倒れ込んだ。

 広島は現U-19日本代表のGK大迫敬介(広島ユース)や先月に鹿島加入が発表されたMF安部裕葵(瀬戸内高)らを擁した昨年は優勝候補に挙げられながら2回戦でPK戦敗退。昨年ほどの個性は無いかもしれないが、岩成監督は「理解力がある子が凄く多いので、苦労した印象はないですね。これからの伸びしろがあると思います」と期待を寄せる世代だ。「アクションサッカー」で攻め続けるチームは抜群の勝負強さも発揮して、第25回大会の選抜チーム大会移行後、初となる国体制覇まであと2勝。山口は「絶対に優勝します!」と宣言した。

(取材・文 吉田太郎)
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