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[MOM400]国士舘大MF信末悠汰(2年)_ライバルと切磋琢磨、先行く先輩への挑戦…2年生MFは泥臭く戦う

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決勝点を挙げた国士舘大MF信末悠汰

[10.2 関東大学リーグ第16節 桐蔭横浜大0-1国士舘大 国士舘大G]

 1部残留へ。国士舘大はその足がかりとなる2連勝を飾った。1-0で勝利した桐蔭横浜大戦で決勝点を挙げたのはMF信末悠汰(2年=清水桜が丘高)。1年前は「4年生になるまで、試合に出られないのかな……」と不安な時期を過ごしていたMFが、泥臭くゴールネットを揺らした。

 0-0で時間は進み。後半16分に得点は生まれた。MF平野佑一(3年=國學院久我山高)のパスを受けたMF本間達耶(3年=遠野高)が右サイドをドリブルで上がり、中央へアーリー気味のクロスを入れた。

「前半の試合中から達耶くん(本間)には、もう少し速いタイミングでクロスを上げてくれという話はしていて。あの場面では自分も中に入っていきました」

 本間の突破に合わせ、ニアサイドにはFW松本孝平(4年=藤沢清流高)とFW田場ディエゴ(2年=日大藤沢高)が飛び込んだ。2トップの勢いに相手DF陣は釣られる。後方に出来たスペースへ走り込んだのは信末。“望み通り”の速いタイミングでのクロスを受けて、右足シュートを放った。一度はGKに弾かれたが、即座に動き出し、懸命にこぼれを足先で押し込んだ。

「シュートを打ったら上手く当たらなかったんですけど、二度目にこぼれてくるところが瞬時にわかったので、そこへ足を伸ばしました。GKが弾いた瞬間に走って、必死に足を伸ばしました。もしシュートを打って、そこで止まっていたら、相手にクリアされていたと思います」

 応援スタンド前、ベンチ前でのゴールにチームメイトが沸き立つなか。殊勲のMFはピッチへ倒れこんだまま。得点する際に必死に足を伸ばしたところ、つってしまったという。4、5日前の練習で足首を痛めていたこともあり、走り続けていたMFはそのままMF荒木翔(3年=日本航空高)と交代。1-0の歓喜の瞬間はベンチから見つめた。

 現在2年生の信末だが、昨季は悔しさをかみ締める一年だった。「いつか絶対に試合へ出て活躍してやる」という熱い想いが根底にはあったものの、リーグ戦では1秒たりとも出番がない状況。もどかしい日々が続いていた。

 特に昨季は同ポジションの一学年上の先輩MF荒木翔(3年=日本航空高)がアシスト王を活躍するほどのブレイク。応援スタンドから先輩の姿をみることが多く、「1年生のときからずっと翔くんを見ていて、自分は4年になるまで、試合に出られないのかなという気持ちもあったんです」と胸中を明かす。

 それでも「そこで諦めずに練習からやっていたら少しは使われるようになってきた」。昨季のリーグ戦では数試合にベンチ入りするのみで出番なし。今季のリーグ開幕戦もベンチ外だった。それでも4月17日の第3節早稲田大戦(1-1)でリーグ初先発初出場を果たすと、ここまで12戦2得点とコツコツと積み上げている。

「こうやって結果を残していくことでちょっとは自信もついてきているので、これからも一所懸命やっていきたいです」とハニかむMFは“理想”も口にした。

「自分と同じポジションの翔くんは、自分より全然上手いし、2年生の時にはアシスト王だし、関東選抜にも選ばれているんですけど。自分は下手なりに守備に貢献して、がむしゃらにやるのが自分の良さだと思うので。がむしゃらに最初から全力でやって、あと残りは今日みたいに攣ったりして、翔くんに交代したりするのが理想かもしれないですね」

 また信末を語る上でチームメイトで“ライバル”のFW大石竜平(2年=清水桜が丘高)の存在は欠かせない。高校時代から足並み揃えて切磋琢磨してきた二人だが、大学入学後は立場が分かれた。大石が開幕戦で先発を飾り、すぐに主力として定着したものの、信末はリーグ出場は0だった。

「高校のときからずっと一緒にやっているし、お互いにライバルだと意識していると思います」と大石との関係性を語った信末。「去年はあっちはずっと試合に出ていて、自分は一年間あまり試合に絡むことができなくて、めちゃくちゃ悔しい思いもあって、フラストレーションも溜まっていたので。来年は絶対に出てやるという気持ちでやっていました」。ライバルの活躍が信末を奮い立たせ、今につながっている。

 国士舘大はまだまだ残留争いの渦中にいる。残る6試合、熾烈な戦いが続く。昨季の悔しさを胸にたぎらすMFはひたむきに、がむしゃらに前線で走りきる。苦しい時間帯、誰もがうつむきかけたときも、決して足を止めずにがむしゃらに戦い抜く。泥臭く走り続けた先に、きっとボールは舞い込んでくる。

(取材・文 片岡涼)

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