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日本vsイラク 試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

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勝利を喜ぶバヒド・ハリルホジッチ監督

[10.6 W杯アジア最終予選 日本2-1イラク 埼玉]

 日本代表は6日、W杯アジア最終予選でイラク代表と対戦し、2-1で競り勝った。前半26分、カウンターからFW原口元気が2戦連発となる先制点。後半15分にセットプレーから失点し、同点に追いつかれたが、後半アディショナルタイムに途中出場のMF山口蛍が劇的な決勝点を奪った。

以下、試合後のハリルホジッチ監督会見要旨

バヒド・ハリルホジッチ監督
「短く話そうと思う。強い気持ちと勇気を持って戦った選手におめでとうと言いたい。スタジアムの観客の皆さんにも最後の最後まで応援してくれてありがとうと伝えたい。本当に価値の高い勝利だと思う。(選手には)強い気持ちを見せろと言ってきた。難しい試合だったが、勝利に値したと思う」

─トップ下で清武を先発起用した意図とその評価は?
「清武は(所属クラブで)プレー時間が短かい現状があったが、(香川)真司よりも1日半ほど早く帰国したので、アドバンテージがあった。私にとってはこの期間が大事だった。よい試合をしてくれた。今までどおりのきれいなフットボールはできなかった。フレッシュさを欠き、ゲームのリズムもなかなか生まれなかった。ただ、試合前に伝えたとおり、メンタルと勇気が必要になる試合だった。FKから失点したが、そこは少し厳しくやっていかないといけない。FKで3失点目を喫したが、ちょっと多いと思う」

─山口がドイツから戻ってきたときは「残念」と言っていたが、ここ数試合の評価は?
「タイ戦で山口はスーパーな試合をしてくれた。今回は戦術的なチョイスだった。柏木が後ろから組み立てることが必要だった。失点する前に、この交代を考えていた。ボール奪うところで少し我々は疲労を感じていた。私は山口に説明していたところだったので、失点シーンを見ていない。少し彼を投入するのが遅かったかなと思う。できるだけ高い位置でプレスをかけてくれ。そして可能性があればシュートを打っていくよう指示した。今日は山口に関してかなり良いフィーリングがあった。アグレッシブさを持ってボールを奪うところが彼は興味深い。彼はそんなに得点を取らないので、今回は本当にうれしい。今日は山口と長谷部に冗談で『点を取ったらシャンパンをおごるよ』と言っていたが、シャンパンを2杯飲めるほどの価値があると思う」

─オーストラリア戦に向けた変更点はあるか?
「おそらく2、3人の変更はあると思う。選手たちがどれだけ疲労回復するかにもかかっている。2試合目はよりフィジカルを重視しないといけない。試合前の2日で急に疲労回復するのは難しい。今回は少し時間があるが、この勝利でより喜びがわいたと思う。このような形で勝ったことはなかった。これがW杯(予選)だ。これが強い気持ちをつくっていく。この勝利は勝ち点3だけではなく、メンタル的にも勇気をチームが学んだと思う。困難なときにより良い結果を出せるかどうかがフットボールでは大切だ」

─原口が2試合連続で点を取って、山口も決勝点を決めたが、競争は激しくなっていると思うか?
「このチームの強みは多くの人間が点を取っていることだ。浅野も2回ほどチャンスがあったし、山口にもあった。(吉田)麻也のヘディングもあった。全員でチャンスをつくった。得点率をもっと高めたい。毎試合、10回もチャンスはつくれない。中盤のグループには励ましながら、ブロックが低くても、しっかり枠を捉えればゴールは狙えるという話をしていた。山口は頻繁ではないが、点を取ってくれてうれしい。ただ、もっと頻繁に点を取る選手が必要で、これは探し続けないといけない」

─日本の選手はデュエルに弱く、イラクは強かった。もっとコンビネーションで戦うべきだったが、選手間の距離が広く、1対1になった場面が多かったことが苦戦した理由だったのでは?
「確かにイラクは力強くて、身長も高い選手が多く、空中戦で挑み、デュエルで勝ってきた。就任当初から地上戦、空中戦のデュエルに勝っていこうと話してきたが、そこはなかなかパフォーマンスが上がらない。それもあって中盤でボールを奪える山口を入れた。イラクは我々よりもデュエルが強く、身長も高く、困難な状況になった。もう一度言うが、多くの選手が戦いを数多くこなしていない現状もある。予測、デュエル、リズムの変化。そこがプレー時間が少ない選手に影響が出たのかなと思う。

 今までやってきた美しいつなぎというのは確かに出せなかった。しかし、それがなかったとしても、今日はいくつかビッグチャンスをつくったと思う。伸びしろはたくさんある。空中戦のデュエル、地上戦のデュエルをまずしっかり伸ばさないといけない。4-0、5-0で常に勝つ希望を私は持っていない。今日はしっかり勝ったことが素晴らしかった。オーストラリア戦ではより空中戦と地上戦が多くなる。選手はしっかりデュエルに勝つ習慣をつけないといけない。どのようなチーム編成でオーストラリア戦に臨むか考えている。オーストラリアのほうがイラクよりもパワーが強い」

─16m付近でのFKを今までよりも多く取れていたが?
「カンボジア戦でFKを取って以来だったと思う。あれが最後のFKだった。日本はファウルを誘わず、16m近くのFKもPKもない状況だった。いつもどおり、1対1でファウルを誘うように言った。特にイラクは多くファウルをする傾向があった。ただ、まだ真ん中ではもらっていない。ダイレクトで狙えるような。今日は素晴らしい試合をしたわけではないが、勇気を持った試合をした。これを私は探していた。チームがどのようなフィジカル状態か理解していた。選手にはメンタル、勇気が大事になると言い続けた。このことが勝利につながってよかったと思っている。

 ただ、イラクもよいチームだった。彼らはオーストラリアにも、サウジアラビアにもしっかりプレーしていた。イラクはオーストラリア相手に、我々よりもチャンスをつくり出していた。イラクを過小評価してはいけない。A代表だけでなく、若い年代でも結果を残している。ロングボールでデュエルを挑んできたが、我々に困難な状況をもたらした。FKで3失点目ということで、21番(サード・アブドゥルアミール)に対するマークから2回やられて、1回目はポストに当たって、2回目が失点につながった。そこはしっかり説明していかないといけない。しかし、もう一度、埼玉の皆さんにありがとうと言いたい。サポーターも苦痛を味わったと思うが、彼らの励ましが後押しになった。国民の皆さんに心の底からありがとうと言いたい。チームも苦痛を感じていたが、国民の皆さんが最後の最後に選手に勇気を与え、それが結果につながった」

─長いアディショナルタイムだったが、一瞬でも引き分けかなと思う瞬間はあったか?
「今、言うのは簡単だ。ただ、勝つことはずっと考えていた。チームの強い気持ちを感じた。ナイーブなところは見られたが、選手は強い気持ちを見せていた。勇気があった。初めて選手たちがグラウンド上で叫んでいた。それが最後に報われた。美しい勝利ではないかもしれないが、勇気の勝利だと思う。これまでは美しいつなぎがあったが、勇気と強い気持ちがもぎ取った勝利だ。時々、こういうことが必要だと思う。強豪国もいつも美しい勝利を挙げているわけではない。選手はきつかったと思う。きつい中、よくやってくれた。皆さんも疲れたと思う。メンタルで戦ってくれた選手、そしてここにいる皆さんにもありがとうと言いたい」

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