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ピリピリ会見のハリル、苦しい弁明「1年前にこの状況が分かっていれば…」

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オーストラリア戦の前日会見に出席するバヒド・ハリルホジッチ監督

 日本代表は10日、オーストラリア・メルボルンのドックランズスタジアムで公式練習を行い、11日のW杯アジア最終予選・オーストラリア戦に向けて最終調整した。左足首痛で別調整が続いていたFW岡崎慎司も合流。練習前の公式会見に出席したバヒド・ハリルホジッチ監督は「アジアで最も強いチームと対戦する」と、オーストラリアを警戒しながらも、「各チームに弱点はある。オーストラリアが最も強いチームだとしても、大きな仕事をするために良い準備をしたい」と意気込みを語った。

 最初の質問で外国メディアから「明日の試合で香川はスタメンに入っているか?」という直接的な質問が飛ぶと、「明日、分かる」と一言。憮然とした表情で次の質問を促した。

 9月29日のメンバー発表会見でも報道陣から「言い訳ではないと言っても、言い訳にしか聞こえない」「UAE戦と同じ結果になった場合、けじめを取ってくれるのか?」という厳しい質問が飛び、「皮肉な冗談だ」「笑えない質問もあった」と気色ばんだ。報道陣との対立姿勢はこの日も続き、「試合に勝っても批判される。ただ、この批判は誇りを持って受け止めている」と苛立つ様子を見せるなど、ピリピリした雰囲気が会見場を包んだ。

 FW武藤嘉紀、FW宇佐美貴史がケガのため参加を辞退し、オーストラリア戦はDF酒井宏樹が出場停止。DF長友佑都もチームを離脱し、岡崎も前日まで別調整が続いた。「いない選手に関してハンディキャップはあるが、メディアの皆さんがよく言う『言い訳』は言わない」と皮肉をまじえて答えると、「困難とも思わないし、選手は準備を完璧にこなしている。勇気と勇敢さを持って、大きな仕事を成し遂げたい」と述べた。

 9月1日のUAE戦に1-2で敗れ、黒星スタートを切った最終予選。同6日のタイ戦は2-0で勝ち、今月6日のイラク戦は後半アディショナルタイムの劇的ゴールにより2-1で競り勝った。それでも、「不正義によっての敗北が一回あった。それによって日本の私への見方が変わってしまった」と不満げな指揮官は「選手が合宿に来て、2日間でいろんなことをやらないといけない。今、起きているのはキーになる選手の試合数が足りないということ。それが我々のゲームのクオリティーに影響してしまっている」と、準備期間の短さ、海外組が出場機会に恵まれない現状を嘆いた。

「キーになる選手にいろんなものが足りない状況。2試合目になるが、我々が期待しているほどのレベルにはなっていない。私の主な仕事はこの2日間でフィジカルを調整しつつ、勝つチームをつくるということ。オフェンスの連続プレーを向上させるのは難しい状況だ。イラク戦もそうだった。オフェンスの組み立てで大したことはできなかった」

 質疑応答が終わり、司会者が会見終了を告げようとする中、自ら口を開いた指揮官が発した最後の言葉は“言い訳”だった。「もし1年前にこのような状況が分かっていれば。海外組15人のうち10人が先発で出ていない。プレーしている選手を選ばないといけないとは思っていたが……」。苦しげに言葉を残し、通訳が話し終える前に足早に会見場をあとにした。

(取材・文 西山紘平)

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