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「190cmないと良いGKとは言えない」ハリルの言葉に183cmの西川は…「ないものはない」

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GKキャンプで笑顔でランニングするGK西川周作

 理想のGKを聞かれた日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督はおもむろに口を開いた。「現代フットボールでは(身長が)190cmないと、良いGKとは言えない。強豪クラブも強豪国も、そういう統計になっている」。まずGKのサイズに言及したうえで、現在、世界最高のGKとの呼び声高いドイツ代表GKマヌエル・ノイアー(バイエルン)の名前を挙げた。

「最もレボリューション(革命)を起こしたGKを挙げるとすればノイアーだ。リベロのようなポジションを取って、DFラインの背後のボールをすべて彼がコントロールし、さらに組み立てにも参加する。反応もコミュニケーションも良い。チームにメンタルをもたらす存在だ」

 現代サッカーではGKに求められる役割も増え、その重要性は増すばかりだ。「繊細で、責任あるポジション」とGKを評する指揮官は「悪いGKはチームに不安定さをもたらす。強豪国を見れば分かるが、大事なのはGKとゴールゲッター。この2つのポジションはどんどん要求が高くなっている」と指摘。そうした要求にすべて応えているのがノイアーだとすれば、決して身長に恵まれた選手の多くない日本のGKが世界のトップレベルを目指すにはどうすればいいのか。

 W杯アジア最終予選でここまで全4試合のゴールを守っているGK西川周作(浦和)は183cm、同じくハリルジャパン常連のGK東口順昭(G大阪)は184cmと、いずれもハリルホジッチ監督の“条件”を満たしていない。「180cm台のGKもハイレベルにいけるが、困難はある。育成でチョイスするとき、身長が大きくなりそうな選手を選ぶことが大事だ。小さいGKには大きいGKより反応が良い選手もいるが、身長が高くないとハイレベルで戦えないのは現実だ」と繰り返し、日本代表の戦いぶりにも話は及んだ。

 最終予選では4失点を喫しているが、その内訳はPK2本と直接FKによる失点、そしてFKに中で合わせられた形だ。「PKを含めて、すべてセットプレー。それが(日本の)弱点と思われている。そこは向上させるか、隠していかないといけない。180cm台のいいGKでも、190cmの選手にFKで対抗するのは難しい」。現在、代表のゴールを守る西川への叱咤なのか。195cmのGK林彰洋(鳥栖)、196cmのGKシュミット・ダニエル(松本)への期待なのか。指揮官は最後まで身長の重要性を説いた。

 とはいえ、ハリルホジッチ監督の言葉を伝え聞いた西川は「身長的に厳しいのは分かっている。190cmの選手にはないもので勝負しないといけない」と意に介さない。身長を技術や俊敏性など他の部分で補ってきた自負があるからで、「足を動かすところやステップワークには自信を持っているし、アジリティーでカバーしていかないといけない。そこは何を言われようが、『ないものはない』と割り切ってやっています」と、笑顔で答えていた。

(取材・文 西山紘平)

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