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逸材高校生、DF冨安健洋が無失点試合に“悔しさ”。誇り高き日本の壁が感じたモノとは?

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高校生ながら福岡でJ1出場を続ける逸材、冨安健洋。2試合連続無失点も満足感はなかった

[10.17 AFC U-19選手権GL第2節 日本 0-0 イラン]

 2試合連続無失点に抑えたDFの表情とは思えないものだった。イランとのAFC U-19選手権第2戦を終えて、高校生DF冨安健洋(福岡)がにじませていたのは、紛れもない「悔しさ」だった。

「結果として(失点を)ゼロに抑えたけれど、本当にたまたま。ゼロに抑えるべくゼロに抑えたわけじゃない。相手が外してくれただけだった」

 2試合を通じて中山雄太(柏)と冨安のCBコンビは安定しており、チームメートからも「真ん中はあの二人がいるので大丈夫」(DF舩木翔=C大阪U-18)などと信頼の言葉が聞かれるほどだ。だが、冨安が設定している“合格ライン”はもっと高い。それはたとえば、前半8分に警戒していた“イランのジダン”MFレザ・シェカリに決定的なミドルシュートを浴びて、判定次第であわやゴールを許していたシーンである。

「あれも自分がヘディングをそらされてしまったところから。自分のイメージでは相手に体をぶつけてからというつもりだったが、タイミングがズレてしまった。そのまま(競らずに)後ろに流すのかで迷いが出ていた。あれでやられていてもおかしくない」

 元より「競り合いは自分が苦手とする部分」と自覚しているところでもある。185cm級の長身だが、ボランチとしてのキャリアが長い分、後ろにGKしかいない状況での防空戦は決して得意なわけではない。その弱みに自覚的だからこそ、負けてはいけないシーンで負けてしまった自分に対して悔しさがにじんだのだろう。そして「0点だからオッケー」といった安直な楽天主義ではない発想の仕方は、ここまで冨安が成長してきた原動力でもある。

「イランはイエメンとまるでレベルが違っていた」と刺激も受けた90分。押し込みながらも常にカウンターの恐怖を刺激され、どこかで“一発”を狙っている相手にスキを見せずに対応し続けるストレスは並大抵のものではなかった。ただ、だからこそやり甲斐もあるというもの。カタールとのグループステージ最終戦に向けても、冨安の思いは明瞭だ。

「“一発”の質が高い相手なのは分かっている。今日以上に、より完璧に決定機すら与えないようにしたい」

 誇り高い日本の壁は、第3戦で無失点勝利どころか“無決定機勝利”を本気で狙っている。

(取材・文 川端暁彦)
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