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[選手権予選]ユース取材ライター陣が推薦する「選手権予選注目の11傑」vol.3

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土屋氏が注目選手に挙げる帝京高の2年生守護神・和田侑大

特集企画「ユース取材ライター陣が推薦する『全国高校選手権予選注目の11傑』」

 ゲキサカでは熱戦展開中の第95回全国高校サッカー選手権予選の注目選手を大特集。「選手権予選注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター陣に選手権予選注目の11選手を紹介してもらいます。第3回は、(株)ジェイ・スポーツのJリーグ中継プロデューサーを務める傍ら、東京都中心にユース年代のチーム、選手を取材する土屋雅史氏による11名です。

土屋雅史氏:「いつも通り普段から重点的に取材させて頂いている東京を中心に、過去の11傑や『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』でご紹介した選手を除外した上で、今回のメンバーを選出させてもらっています。どちらかと言うとチームの中で一番目立つ訳ではないかもしれないけれど、それでも僕が見て個人的に『絶対に欠かせないよな』と感じるような選手たちをご紹介する形になりました。彼らに注目して試合を見ると、よりサッカーの面白さを知ることができると思います」

以下、土屋氏が注目する11名
GK和田侑大(帝京高2年)
「國學院久我山高、修徳高、東海大高輪台高と相次いで強豪を撃破してきたカナリア軍団不動のGK。2月の新チーム発足時からDFラインの顔触れは毎試合のように変化する中で、この男だけは常にゴールマウスに立ち続けてきた。抜群の反応を見せる至近距離からのシュートストップに特徴を持つが、最大の魅力は1試合中途切れることのない“声”。帝京にとって7年ぶりの東京制覇は、この2年生守護神の活躍に懸かっている」

DF石島春輔(関東一高3年)
「昨年のプリンス関東参入決定戦で矢板中央高の森本ヒマン(現・駒澤大)と互角に渡り合い、首脳陣の評価を高めたCB。今シーズンは一貫してスタメン起用が続いており、持ち前の対人の強さでチームに安定感をもたらせる存在に。2年連続で全国総体では市立船橋と対峙する中、『去年と今年のどちらも全然無理だという感じは正直なくて、守れる所はしっかり守れていた』と口にするなど、チームの中で最も自信を付けてきた選手の1人でもある」

DF岸本真輝(東大和南高3年)
「同校初の東京4強まで駆け上がった都立東大和南を最後尾から支えるキャプテン。185cmの長身を生かした高さの魅力もさることながら、厳しい局面で体を投げ出せる“根性”も兼ね備えたCB。一度取材を終えてから、再度戻ってきて話し直す時に残す言葉の“良い感じ感”にも定評があり、この半年で『みんなに支えられてここまで来れている』ことを痛感しているとのこと」

DF小山珠里(成立学園高3年)
「184cmの大型レフティはシーズン序盤に務めていたボランチと、総体予選以降で任されているCBを共に高次元でこなせる、いわば“成立のマティッチ”。『アイツはどれだけ走っても倒れないし、ボールを動かすという意味でほとんど引っ掛けられることはないんですよね。前に置くと点を取るし』と宮内聡監督も評するように、まさにオールラウンドな能力を有した逸材は、大学関係者からも高い注目を集めている」

MF阿久津諒(市立船橋高3年)
「夏の王者に輝いたイチフナの中でも、『とにかくハードに運動量を持って、嫌な所、嫌な所に守備で立てる選手』と朝岡隆蔵監督も信頼を寄せる影のキーマン。高校生離れしたオートマティズムの鍵を握る中盤で、複数ポジションをこなせるポリバレントさも魅力だが、本人は『自分は試合に出れているだけで本当に良いので、試合に出た時の役割をしっかり理解して、どこで出ても大丈夫なようにしたいです』と謙虚さの塊」

MF佐藤詩響(日章学園高2年)
「4連覇を狙う日章学園で、その正確なキック精度からプレースキッカーを託されているのが佐藤詩響。“W佐藤”としてドイスボランチを組む、年代別代表の経験を有する佐藤颯太の陰に隠れがちではあるものの、ケガから復帰して1週間弱で迎えた高校総体の1回戦でも、CKから唯一のゴールをアシストして勝利に貢献。個人的にはこの夏最大の発見だった選手」

MF立石爽馬(関東一高3年)
「1年時は入学早々の5月からCBの定位置を確保し、大きな期待を集めていたものの、以降の1年半は負傷に苦しめられ、高校最後の大会となる選手権でようやくレギュラーに返り咲きつつある。184cmのサイズで縦にも横にも動ける機動力を有したスケール感は抜群。初めての全国だけを見据える関東一の悲願達成に、このラストピースの完全復活が必要不可欠であることは間違いない」

MFムン・インジュ(東京朝鮮高2年)
「ルーキーイヤーの昨年はスーパーサブ的な役割を担っていたものの、今シーズンはケガから復帰した総体予選以降にボランチのポジションを確保。左足から繰り出す繊細なスルーパスが最大の特徴だが、高隆志監督も『この期間で成長してきましたし、走る量も凄いと思います』と認めるようにハードワークも体得。U-19北朝鮮代表にも選出されているリャン・ヒョンジュとのホットラインが東京朝鮮の浮沈を握っている」

MF久乗匠(洛北高2年)
「昨年度の選手権予選、今年度の新人戦に総体予選と、3大会続けて府の決勝で敗れた京都橘高へのリベンジを期す古都の古豪のファンタジスタ。『練習会に参加して雰囲気が良くて、ここで選手権に行きたいなと思いました』と京都U-15から進学してきた長身MFの持ち味は、正確さと意外性の共存したパスセンス。『橘と差はありますけど、自分は全然勝てると思います』と言い切るメンタルの強さも大きな魅力」

FW矢崎一輝(駒澤大高3年)
「T1リーグでは開幕5試合で4ゴールと絶好のスタートを切りながら、負傷で関東大会予選と総体予選を棒に振り、ようやく8月末に復帰してきたストライカーは、『復帰する前より自分のメンタルや試合勘がなかなか戻らなくて、最初の方は苦しんでいた』が、ここに来て再びゴールを量産中。『とにかく自分が決めるということと、チームが勝つことをテーマにやりたい』と自らの活躍でチームを全国へと牽引することを誓う」

FW楜澤健太(帝京長岡高3年)
「『色々な高校へ練習参加に行った時にここの練習が一番キツかったので、ここに入ればもっと上手くなれると思って入りました』と長野から帝京長岡の門を叩いた技巧派レフティは、収まり、運べ、点も取れるなど攻撃センス抜群。谷口哲朗コーチも『ガッツもあるし、ドリブルは推進力を持ってやれるのでキーマンですね』と明言する10番がボールを持つと、その左足で何かを起こしそうな雰囲気がピッチに充満する」

■執筆者紹介:
土屋雅史
(株)ジェイ・スポーツに勤務し、Jリーグ中継を担当。群馬県立高崎高3年時にはインターハイで全国ベスト8に入り、大会優秀選手に選出。著書に「メッシはマラドーナを超えられるか」(亘崇詞氏との共著・中公新書ラクレ)。

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