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「今度、途中交代したら…」川崎F新井を奮起させた愛妻の言葉、脳震盪から復帰で完封貢献

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2試合ぶりの先発で完封勝利に貢献したGK新井章太

[10.22 J1第2ステージ第15節 川崎F2-0広島 等々力]

 だれよりも完封にこだわっていた。2試合ぶりの先発となった川崎フロンターレのGK新井章太は「試合に出て、無失点に抑えてやろうと思っていた。結果が出てよかった」と、劣勢の展開でビッグセーブを披露し、完封勝利に貢献した。

 今季から加入し、正GKを務めてきたGKチョン・ソンリョンが負傷離脱し、前々節の横浜FM戦(3-2)で今季初先発のチャンスがめぐってきた。ところが、セットプレーの守備で味方の肘が顔面に入り、後半24分に途中交代。試合後、左頬骨骨折および脳震盪と診断され、前節・神戸戦(0-3)を欠場した。

「あの試合(神戸)も出る気でいた」という新井だが、「脳震盪のプログラムも全部クリアして週末に臨んだけど、まだ骨がくっついていなかった。フェイスガードも用意していたけど、まだシーズンは長いし、危険は冒せないという(ドクターの)判断だった」と出場を断念。ピッチの外からチームを応援した。

 しかし、結果は0-3の完敗。年間勝ち点1位の座を浦和に明け渡す痛恨の敗戦となった。「『自分が出ていたらこうできたのに』とか考えながら見ていた。悔しさもあったけど、そこは仕方がない。今日は絶対に勝つつもりで臨んだ」。前半7分にはMF柴崎晃誠との1対1で見事にセーブ。耐える時間帯で安定した守備を見せ、最近3試合で8失点を喫していたチームが8試合ぶりの無失点に抑えた。

 負けられない理由はもう一つあった。今年5月に入籍した夫人は来月に出産予定。試合前には「今度、途中交代したら次のお小遣いはなしね」とハッパをかけられていた。まさかの“小遣いなし”を免れた新井。「次の試合もまた出られるように。(チョン・)ソンリョンが戻ってくるかは分からないけど、そこはまた競争になっていくと思う」と気合を入れ直していた。

(取材・文 西山紘平)

●[J1]第2ステージ第15節 スコア速報

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