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[選手権予選]岡山学芸館が初出場に王手、西山が「柿谷トラップ」でゴール:岡山

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[10.30 全国高校選手権岡山県予選準決勝 岡山学芸館高 ]

 岡山学芸館高が、初の全国高校選手権出場に王手をかけた。第95回全国高校サッカー選手権の岡山県大会は30日に準決勝を行い、岡山学芸館は延長戦の末に3-2で就実高を下して決勝進出を決めた。

 就実が前半14分にMF室井陸のダイビングヘッドで先制したが、岡山学芸館は前半27分にFW山河大将のスライディングシュートで同点に追いつき、後半24分にはMF西山敢太のゴールで逆転。しかし、就実も途中出場のFW南條浩志がゴールを決めて同点とし、勝負は延長戦にもつれ込んだ。決勝点が生まれたのは、延長後半3分。岡山学芸館の2年生FW川西真斗が投入からわずか3分で抜け出しに成功し、勝ち越しの3点目を奪った。

 最後まで苦しんだ岡山学芸館だが、好采配で何とか勝ち切った。川西がラッキーボーイとなったのは象徴的だったが、その前に行った後半の配置変更が光っていた。後半15分が過ぎると左MFで先発していた西山とシャドーストライカーの加藤凛太朗のポジションを入れ替えた。一度逆転した2点目は、2年生ボランチの池平直樹が繰り出した浮き球ミドルパスに西山が中央で抜け出したことから生まれた。

 西山のトラップが見事だった。後ろから来るボールの勢いを止めず、削ぎ過ぎずに前方へ短く送り、前に出てきたGKの頭上を越すループシュートを鮮やかに決めた。まず「あの時間帯は、相手に足をつる選手が多く出て足が止まっていたので、とにかく早くサイドに展開して起点を作っていたけど、相手の逆を突く形で中に入れた。敢さんとは、普段から話をしている。あのタイミングでパスを欲しいと言っていた」と話した池平の配球が見事だった。そして、西山が見せた抜群のトラップで相手守備陣は、失点回避が困難になった。イメージを重ねていたのは、鮮やかなタッチで相手守備網を手玉に取る華麗なプレーで知られる元日本代表FWの動きだった。西山は「あいつは、正確なボールをくれるので、思い切って動き出せる。ファーストタッチの質は、自分の持ち味。抜け出しからのコントロールは、柿谷曜一朗選手(C大阪)を意識している」とスピードを落とさずに相手を置き去りにする絶妙なファーストタッチからゴールを陥れたシーンを振り返った。

 得点の5分後に就実のFW南條浩志にゴールを奪われて同点にされる甘さを見せた部分は課題となったが、岡山学芸館は、延長後半に2年生FW川西が投入からわずか3分で決勝点を挙げる活躍を見せて3-2で勝ち切ることができた。11月5日に行われる決勝戦では、連覇を狙う玉野光南高と対戦する。西山は「学芸館は、創部して14年間で一度しか決勝に行ったことがなく、優勝はまだない。全国高校選手権は、1年生の頃はただの憧れだったけど、今は目標。あの舞台を、高校3年間の集大成にしたい」と初の全国高校選手権出場にかける意気込みを示した。岡山学芸館は、夏の全国高校総体に出場しただけでなく、プリンスリーグ中国でもプレミアリーグ参入戦出場圏内の2位につけて優勝争いを展開するなど、今季は地力のあるところを見せている。実力を証明し、冬の大舞台へ進めるか。歴史を変えるための一戦に臨む。

(取材・文 平野貴也)
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