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愛媛はPO進出ならず…指揮官や選手はJ2最多のドロー数を悔やむ

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[10.30 J2第38節 東京V1-1愛媛 味スタ]

 愛媛FC東京ヴェルディと1-1で引き分け、勝ち点1を手にするに留まると、J1昇格プレーオフ(PO)進出の可能性が消滅した。38試合を終えて、10勝20分8敗という数字。試合後、木山隆之監督や選手たちは、PO進出を逃した要因に引き分けの多さを挙げていた。

 木山監督初年度の昨季はリーグを5位で終え、初のJ1昇格POへ進出。PO準決勝で4位のC大阪と0-0で引き分け、敗退した。今季ももちろんJ1昇格を見据えるなか、2年連続でのPO進出を目指していたが、今季4試合を残して7位以下が決定。第一目標を遂げることはできなかった。

 試合後の会見で木山監督は「去年いけたPOにもう一度いきたいと、目標を持ってチャレンジしてきました。ですが今日の試合の結果を持って、残念ながらそこに進出することはできませんでした。本当に悔しいですけど、色々なことを考えるとまだまだ力が足りないし、そこに辿り着けるレベルではないというのは自分たちもわかっていて。足りないことがたくさん見えた一年だったのかなという気がします」とシーズンを振り返った。

 J2の22チームのなかで引き分けの数は最多の20。引き分けの多さを指摘した指揮官は「よくよく考えなければいけないのは、この引き分けの半分が勝ちになれば、昇格のラインになってくるし、逆に半分が負けになれば、J3のラインに乗ってくる。そう考えるとこれから厳しい時代が待っている可能性もあるし、逆に自分たちの努力ではなんとかなる可能性もある」と先を見据える。

 引き分けが多かった原因について、報道陣から質問が飛ぶと「これから言うことが100%正しいかはわからないですが……」と前置きしつつ「自分でもずっと考えているのですが、去年は本当に(愛媛は)ノーマークのチームで、我々に対して勝ち点3を計算してくれる相手がきてくれて、我々がやり返していって、強く守備から入ってカウンター気味の得点が多かったのですが、今年は自分たちが攻めている時間が長かった。そうしていると当然スペースもないですし、多くの人数がいる中を崩していかないといけない。ゲームは自分たちが押していても、結局0-0とかの試合が多くなってしまいました」と説明した。

「自分たちが攻めるリスクをかけている分だけの見返りを、なかなかゲームで作れなかった。失点は平均1以下なので決して多くないのですが、夏以降は特にリスクを追った分、失点が増えたのかなと思いますし、自分たちが攻めているわりに得点は少なかったかなという気はしています」

 序盤戦は安定した守備をみせる一方で得点力不足が顕著だった。一方でPO進出を目指し、勝利を求めてチャレンジしていった夏以降は、得点は増えたものの比例するかのように失点数が増えた。

 今季10点を挙げているチーム内得点王のFW阪野豊史は「前半戦は堅いチームで前線からしっかり守備をして、1点を取るというサッカーをしていたなかで、しっかり守れていたけれど、自分もなかなか点を取れなかったし、チームとしても得点不足みたいな試合が続いて勝ち点3を取れなかった」と分析。

「逆に後半戦に入り、上に迫っていかなければいけないというなかで、少し戦い方を変えて、多少リスクを負って後ろからつないだり、高い位置へボランチも出て行くようになったら、点は取れるようになったけれど、失点も増えて。その両方を上手くできたら、勝ち点3が取れるんだろうけど、そこが難しかったし、実力だったんだと思います」と冷静に捉えていた。

 PO進出の可能性は消えたが、まだホーム2試合を含む4試合が残っている。前半戦でみせた守備をベースに、後半戦で手応えを得始めている攻撃陣が結果を残すことができれば、それは間違いなく来季へつながる。残り4試合を無駄にするつもりはない。

 DF林堂眞は「いつも下位だったチームの愛媛が去年から木山監督が来て、POにいけた。今年一桁順位で終わることができれば、来季への糧になると思う。来年へ向けて一桁順位で終わるのと二桁順位で終わるのは全然違うので。継続してやっていくためにも、一桁を目指してやっていくしかないですね」と強く誓っていた。

(取材・文 片岡涼)

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