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[選手権予選]12年ぶりの復活Vまであと1勝!インハイ16強の自信、堅守支えに前橋商が劇的な1-0勝利!:群馬

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後半39分、前橋商高MF金枝晃平(左)が決勝点

[10.30 全国高校選手権群馬県予選準決勝 前橋商高 1-0 新島学園高 敷島公園サッカー・ラグビー場]

 第95回全国高校サッカー選手権群馬県予選準決勝が30日に行われ、関東大会予選と総体予選優勝の前橋商高と新島学園高が激突。後半終了直前の39分に10番MF金枝晃平(3年)が決めた決勝点によって前橋商が1-0で勝ち、11月6日に前橋育英高と戦う決勝へ駒を進めた。

 12年ぶりの全国まであと1勝。今夏の全国高校総体でベスト16に入った前橋商だが、伝統校復活を全国に示すためには選手権に出るしか無いと選手たちは感じている。決勝の相手は群馬の高校サッカーをともに牽引してきた一方で、近年は先行を許してしまっている前橋育英。最大のライバルを倒して全国への道を切り開くか。金枝は「10年以上出ていないので自分たちの代で出て歴史の1ページに刻みたいです」と言い切った。

 準決勝は非常に厳しい戦いだった。立ち上がりこそボールを繋いで攻める前橋商が得意のサイド攻撃で押し込み、FW星野周哉(3年)やMF大橋洸紀(2年)、右SB木村海斗主将(3年)がクロスへ持ち込むも、序盤を過ぎると複数の選手でボールを奪い取る新島学園のペースに。12分には左SB坂井祐喜(3年)のフィードからFW勅使河原滉介(3年)がオープンスペースを突く。これはゴールマウスから大きく飛び出した前橋商GK田村健太朗(2年)が何とか対応するも、FKを獲得。このFKをFW長谷川幹(2年)が鋭くゴール方向へ蹴り込んむ。また、ポゼッションからMF諸田友輝(2年)やMF関井祐太(2年)が大きなサイドチェンジを交えた攻撃を繰り出す新島学園は右MF小林廉主将(3年)と左のMF村山紘基(2年)の攻撃力も活かして前橋商ゴールへ迫った。

 前橋商は金枝の右FKから木村がヘディングシュートを放つシーンもあったが、得点には結びつかない。「おかしい、おかしいというところで前半が終わってしまった」(笠原恵太監督)。だが後半、前橋商はベンチの指示で相手の背後を突く攻撃を徹底。これが新島学園の足を少しずつ止めていく。また「ゼロでというのはミス以外は自信はあるので、安心はしていました」と指揮官が信頼を置く堅守が緊迫した試合で差をつける武器となった。

 FWからのコンバート組・CB風間朝陽(3年)が抜群の高さを発揮したのに加え、CB李守文(2年)や木村も空中戦での強さを示すなど、新島学園を簡単にはゴールに近づけない。新島学園も後半立ち上がりに勅使河原が左足シュートを放つなど攻撃をやり切っていたが、「自分と相方のCB(李)と一つひとつ確実に跳ね返していけば大丈夫だと思っていた。そこで跳ね返すことができなくてもカバーしあってやっていくことで失点はしないということは話していました」という風間や、ミスもありつつ存在感も大きかったGK田村含めて堅い前橋商に決定打を浴びせることができなかった。

 そして新島学園は好守を連発していたCB唐澤佳吾(3年)が後半12分に交代を強いられたのをはじめ、足を気にする選手や攣らせる選手が続出。良かった流れが少しずつ停滞していくように感じられた。それでも27分に訪れたビッグチャンス。自陣からの縦パスで一気に抜け出した勅使河原がPA外側から左足ミドルにチャレンジ。GKの頭上を越えた一撃がクロスバーを直撃する。新島学園は30分にも右サイドで粘った小林のラストパスを長谷川が右足で叩いたが、シュートは枠上へ外れてしまった。

 逆に足が止まらない前橋商が終盤、オープン攻撃やセットプレーからチャンス。そして39分、ついに先制点が生まれる。前橋商は木村がグラウンダーの右クロス。これがニアサイドの金枝に通ると、トラップでDFを外した背番号10が右足シュート。「トラップして振り向きざまで相手の股を。感覚でシュートまで行けました」という一撃がゴール左隅を破った。歓喜を爆発させる黒と白のユニフォーム。新島学園も粘るが、李のシュートブロックにあうなど得点を奪うことが出来ず。木村が「我慢する展開が長かったんですけど、自分たちに流れが来ると思っていたので決められて良かったです」と語る前橋商が決勝進出を決めた。
 
 前橋商の笠原監督は2勝した全国総体から、よりチームを進化させるためにボールを繋ぐ攻撃にチャレンジ。準々決勝までは効果を発揮していたが、この試合は相手のアグレッシブな守りもあって主導権を握ることができなかった。それでも絶対の自信を持つ自分たちの運動量を活かし、意図的に相手を走らせたことで新島学園の足を止めて形勢逆転。また全国総体でも3試合で計2失点だった堅守、自慢のサイド攻撃が支えになった。そして全国2勝の自信がチームの強さの源に。「(劣勢の時間帯でも)選手が全然慌てていなかった。それが良かった」と指揮官も目を細めていた。

 決勝では前橋育英と激突。昨年と3年前は準決勝、一昨年は決勝でタイガー軍団に屈しているだけにリベンジへの思いは強い。風間は「前商対育英は伝統校同士の戦いなので、これまでの先輩たちの思いも背負って戦いたい。去年も一昨年も準決勝、決勝で負けているので今年こそ勝ちたい」。選手権への強き思いと全国での経験を持つ伝統校が今年こそ、選手権の全国舞台に立つ。

(取材・文 吉田太郎)
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